九州のラーメンを世界へ発信! 福岡の人気店「秀ちゃんラーメン」のユニークな海外戦略

小内三奈

スクラップ&ビルドで成功モデルを模索

アメリカ・ボストンの店舗「Totto Ramen Boston」
アメリカ・ボストンの店舗「Totto Ramen Boston」

 秀ちゃんラーメンの海外展開は順風満帆のように思えるが、たとえばニューヨークでは、一時期4店舗にまで拡大していた店舗が、現在は1店舗もない状況。実は海外店舗数は増加の一途をたどっているわけでなく、常にスクラップ&ビルドを繰り返している。

「アメリカは、ビザ取得の厳格化に加えて、家賃が1.5倍~2倍近くまで高騰している。また、突然IHでないと調理ができなくなるなど規制が急に変わることが多く、飲食業にとっては非常に厳しい環境。とくにニューヨークの景気は悪化していて、今はわれわれにとっての主戦場ではないと判断している」

 さらに、トランプ政権となり物価や関税の変動も激しい。「フレンチなど高価格帯のレストランはさほど影響を受けないが、ラーメンをはじめとする客単価30ドル前後の飲食店が最も苦戦している状況。客単価を50ドル以上にしないと利益が出にくい構造なので、ラーメン店の経営は厳しいと言わざるを得ない」と河原氏は言う。

オランダ・アムステルダムの店舗「Vatten Ramen LABO」
オランダ・アムステルダムの店舗「Vatten Ramen LABO」

 その一方、明るい話題が多いのがヨーロッパのオランダだ。同国では年間2億円近い売上を記録する店舗が誕生している。「現地パートナーと協業し、ジョイントベンチャー形式で店舗運営を行うことで成功している。利益をすぐに持ち帰るのではなく、1号店の実績を元にうまくいかない店舗は閉めて、好立地の物件が見つかればまた開店といったふうに、現地で得た利益を次の店舗に再投資している」と河原氏は説明する。

 パートナーごとに異なる事業スタイルを取りながら、スクラップ&ビルドを繰り返しつつ安定した売上を上げるという好循環が生まれている。

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