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PBを返礼品に! ファミリーマートが「ふるさと納税」に参入の理由

阿波 岳 (ダイヤモンド・チェーンストア編集者)
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ファミリーマート(東京都/細見研介社長)は325日から、「ファミマふるさと納税」を開始した。バーコード決済機能付きアプリ「ファミペイ」から専用サイトに移動し、自治体と返礼品を選んで寄付するとアプリ内に返礼品の電子クーポンが届き、全国のファミリーマート店舗で受け取れるというものだ。返礼品として扱うのは同社のプライベートブランド(PB)商品。「寄付してすぐに返礼品を受け取れる」という異色のサービスで、ふるさと納税市場の開拓に踏み切った。

ファミリーマートは「ファミマふるさと納税」を開始した
ファミリーマートは「ファミマふるさと納税」を開始した

リアル店舗網とアプリを活用

 近年、ふるさと納税の市場は急速に拡大している。総務省の「ふるさと納税に関する現況調査結果」によると、23年度(234月~243月)のふるさと納税受入額は11175億円と、初めて1兆円を突破した。

 市場拡大に伴い近年は新規参入が相次いでおり、直近では2412月にアマゾンジャパン(東京都/ジャスパー・チャン社長)が「Amazonふるさと納税」を開始。コンビニ業界でも、2411月からローソン(東京都/竹増貞信社長)が「ローソンふるさと納税」を開始するなど競争が激化している。

 そうしたなかで、ファミリーマートはどのように差別化を図るのか。金融事業本部長兼ファミマデジタルワン社長の中野和宏氏は「日常的に使用する商品を中心に展開するファミリーマートならではの強みを生かしていきたい」と述べる。

 中野氏の言うファミリーマートならではの強みとは、全国約16500の店舗網と2000万ダウンロードを超える「ファミペイ」アプリだ。これらの既存インフラを活用することで、利便性の高いふるさと納税サービスを提供するとしている。

好きなタイミングで、好きな数の返礼品受け取りが可能

 ファミマふるさと納税の最大の特徴は、ファミリーマートで販売するPB商品を、製造工場が所在する自治体の返礼品として設定している点だ。返礼品には、PB商品のミネラルウォーターやサラダチキン、スナック菓子などをラインアップする。

 かつ、常に店頭で販売しているPBを返礼品とすることで、寄付から受け取りまでのタイムラグを極限まで短縮しているのも特徴だ。従来のふるさと納税は、寄付から返礼品の到着まで2週間から2カ月程度かかるのが一般的だが、「ファミマふるさと納税」では「ファミペイ」アプリのポータルサイトを通じて自治体と返礼品を選択、アプリ上で決済するとすぐに返礼品の電子クーポン(回数券)が発行される。この回数券を使って全国のファミリーマート店舗で交換できる仕組みとなっている。

 電子クーポンの有効期限は90日間。1回に受け取る数量は自由に選ぶことができる。たとえば返礼品としてPBのミネラルウォーター27本分の回数券を得た場合、一度に27本すべてを受け取ることもできれば、1本だけ引き換えることもできる。また、最低寄付金額を1000円に設定。少額寄付に対応することで、利用機会を広げていきたい考えだ。

 そしてこの仕組みは、返礼品を提供する自治体にもメリットをもたらす。返礼品の個別発送が不要になり、中間コスト削減やCO2排出量の抑制につながるためだ。ファミリーマートでは今後、提携する自治体と共同でのオリジナル商品開発も視野に入れているという。

 

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記事執筆者

阿波 岳 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集者

大学卒業後、社会の荒波にもまれる日々を経験。そこで書籍や会報誌の編集に携わるうちに、メディア事業への興味が芽生え、今に至る。
趣味は喫茶店巡りと散歩。喫茶店での一杯のコーヒーや、街角の散策を生きがいとしている。
これまで全都道府県を制覇するという小さな目標を達成した。何かを極めたり、制覇したりすることには、なぜか人一倍の熱意を注いでいる。
最近の悩みは、ここ数年で増えた体重との戦い。健康の大切さを意識しつつも、喫茶店のコーヒーに合わせたスイーツや、ランチの大盛りがやめられない。今日もまた元気に「大盛で!」と注文しつつ、明日こそ控えめにしようと心に誓っている。

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