大丸、松坂屋などで買い取り事業 J.フロントがコメ兵と新会社設立の周到な戦略
設立10年で売上100億円を目指す
昨今、リユース買い取りの競争は激化している。新聞を購読している家庭には毎日のように買い取りの折込チラシが届き、身の回りの至るところに買い取りショップを見かけるようになった。そこで喫緊の課題となっているのが、質の良い買い取り商材を、どのようにして入手するかだ。「百貨店の顧客は、まだまだ開拓する余地があり、自分たちの事業を強化することにつながると判断してもらえたのではないか」と丸岩部長。つれない反応も予想していたものの、驚くほどの好感触だったという。
事業展開の具体的な仕組みとしては、設立した合弁会社が買い取り専門店を大丸・松坂屋・パルコに出店し、顧客からリユース品を買い取る。その後、買い取ったリユース品をコメ兵に売却する。買い取り専門店は大丸・松坂屋・パルコと出店契約を結ぶため、合弁会社からJFRには賃料が支われる。合弁会社にはコメ兵がリユース品を買い取ることによる利益が生じる。コメ兵は合弁会社から仕入れたリユース品を再販し、GMV(流通取引総額)を拡大させられる。
買取専門店のスタッフは、JFRとコメ兵の双方からの出向でスタート。百貨店で接客に携わってきたスタッフが研修を経て買取専門店で鑑定にあたる。「百貨店のスタッフには、そもそも接客・接遇のスキルが身に付いている。そこに加えて鑑定のノウハウと技術、ブランドの知識などをコメ兵の研修・人材育成プログラムで習得してもらう。それほど時間はかからず独り立ちできる見通しがすでに立っている」(徳橋氏)
そのうえで、念を入れて、各店舗にかならずコメ兵出身のスタッフを配置。「間違いがないように、買い取り査定に必要なあらゆる情報やデータをコメ兵に提供してもらうことで信頼性を担保する」(丸岩部長)
JFRグループのポートフォリオを変えるミッションを背負ってローンチされるリユース買い取り事業。合弁会社の設立から10年以内で100億円規模の売上を目指すという。徳橋氏は「グループ内の他の事業会社と変わらない売上にして、ゆくゆくはリユースが1本の事業の柱となるように、しっかり取り組んでいきたい」と力を込める。社内で取り組みの進捗を報告する中でも反応がよく、ビジネスチャンスと受け止められ、期待されているようだ。「百貨店の現場からも歓迎する声があがり、全社的に同じベクトルを向いて進められていると感じる」(徳橋氏)