JSA岩崎高治会長「25年、商品マスターの合理化にチャレンジする!」
日本スーパーマーケット協会(JSA)、オール日本スーパーマーケット協会(AJS)、全国スーパーマーケット協会(NSAJ)の3団体は2024年12月20日、記者発表会を開催した。この中で、JSAは、「持続可能な物流の構築」「人手不足対策」「環境対策」の3つを重点取り組み事項として挙げている。本稿では、登壇したJSA 岩崎高治会長の発言を語り下ろし形式でまとめた。
持続可能な物流について
全国に広がる物流研究会のネットワーク
スーパーマーケット(SM)業界が直面している物流課題は、「競争」から「協調」への転換期を迎えている。「首都圏SM物流研究会」は、当初JSA加盟企業の4社で始まった取り組みだったが、現在は19社まで拡大した。エリアごとの部会が行われる動きも生まれている。また、首都圏だけにとどまらず「中四国物流研究会」「東北物流みらい研究会」「関西SM物流研究会」が発足するなど、全国各地でSM企業間の連携が加速している。
JSAでは、荷待ち・荷役作業時間の削減、生鮮・チルド品における物流課題の改善、空き車両の有効活用、共同配送を推進していく。これにより、サプライチェーン全体の効率化を図り、持続可能な物流モデルを構築していきたい。
環境対策について
協業で環境負荷の軽減をめざす
環境問題への対応では、「食品廃棄物」「プラスチック削減」「CO2排出量」の削減を主要なテーマとして掲げている。具体的には、フードバンクへの食材の提供による食品ロスの削減や、カトラリーなどでの使い捨てプラスチックの使用の削減を推進してきた。
JSAでは、環境問題は「協業領域」として、今後も会員企業間での情報共有を活発に行っていく。各社の取り組みについては、現場の視察や見学会などを実施し、共有している。このような活動を通じて、社会全体の環境負荷の軽減につなげていく。
人手不足の問題について
外国人材の受け入れ環境を整備
SM業界が直面するもう一つの重要な課題には、人手不足への対応が挙げられる。この点では、外国人材の活用が拡大している。24年は外国人在留資格「特定技能」について、飲食料品製造業分野において、SM店舗のバックヤードにおける製造作業での受け入れが可能となった。
さらに、技能実習制度の対象範囲が拡大し、27年には「育成就労制度」(特定技能を持つ人材の育成と、特定産業分野における人材の確保を目的とした制度)への移行が決定し、外国人材の受け入れ環境が整ってきている。一方で、外国人材に依存することなく、デジタル技術やAIの積極活用による生産性向上をめざす。