第109回 SCのフロア担当が繰り返す店舗巡回 その多くが勘違いしていることとは
「運営管理事務所」が設置されたショッピングセンター(SC)には、営業担当やフロア担当と呼ばれるテナントサポートを行う人員が配置されている。彼らの主な仕事は、店舗の売上向上や営業上の問題点や課題を解決することにある。そのため、「店舗巡回」と称し、店舗を周りスタッフから日常的にヒアリングを繰り返す。しかし、その業務は非常に属人的であり、標準化されているSCは少ない。この状況を打破するための考え方を提示したい。

目的化する店舗ヒアリング
店舗をまわり、営業状況を聞き、報告書にして社内の月例営業会議での発表をルーチン業務とするSCは多い。その目的は報告資料をつくることにあり、決して店舗の売上向上ではなく、社内資料作成のためのヒアリング作業である。こうした実情を理解している店舗スタッフからは「どうせ、社内資料作るために聞いてまわっているんでしょう」と言われることもあり、時間を奪う結果となっている。
実際、SCに行くと、店舗前で通路に背中を向けて店舗スタッフと話しをしている人がいる。彼らがその営業担当であり、非常に目立つので気にして見てみるといい。
「何が売れたか」を聞いて回る愚
店舗巡回で聞く内容の多くが「何が売れたか」である。「今、お客様のニーズはどこにあるのか」を確認する。では、「何が売れたか」を聞いてどうするのか。
仮に「ピンクのカットソーが売れた」という情報があった場合、隣の店舗にピンクのカットソーを品揃えするよう促すのだろうか。
しかし、隣の店舗が類似の店舗でなく、雑貨店やコスメ店だった場合はどうするのか。
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