ゴールドウイン、脱ザ・ノース・フェイス依存めざす理由と新戦略の評価
アパレル業界にかかわりのない人やファッションにさほど興味のない人であれば、Goldwin (ゴールドウイン)という名前は知らない人が多いと思う。しかし、「The North Face 」(ザ・ノース・フェイス)という名前は誰も「アウトドアブランドね」と即答できるほど知名度は高い。実は、ゴールドウインとは会社の名前であり(同名のアウトドアブランドも展開する)、その基幹ブランドがザ・ノース・フェイスである。今日は、ゴールドウイン社が7月に発表した2029年3月期を最終年度とする「新中期5カ年経営計画」を分析し、その可能性やリスク、実現可能性などについて私の所見を述べたいと思う。

ザ・ノース・フェイス擁するゴールドウイン社とは
まず、名前の整理からはじめたい。Goldwin(ゴールドウィン)というのが会社名で、同社が展開するブランドとして「The North face」(ザ・ノース・フェイス)と「Goldwin」(ゴールドウイン)などがある(そのほかにもアウトドアアパレルの「HELLY HANSEN」、スイムウェアの「speedo」なども取り扱う)。以下、社名については同名ブランドとの混同を避けるためゴールドウイン社と表記する。
このザ・ノース・フェイスというブランドはモンスターブランドで、15年3月期は200億円台だったのだが、24年3月期には975億円となり、わずか10年で売上規模は5倍に膨れ上がった。
24年3月期のゴールドウイン社の売上高は1269億円だったので、会社全体の売上高の実に77%をこのザ・ノース・フェイスが占めていることになる。
さてこのザ・ノース・フェイスというブランドは、1966年にアメリカで誕生したアウトドアブランドで、現在VFコーポレーションがそのブランドを所有している。そして、日本と韓国においてはゴールドウイン社がザ・ノース・フェイスの商標権を持っている。
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