実録!働かせ方改革(5)TOEICは不要!グローバル人材選抜の発想を大胆に変えたメーカーのここがスゴい!
社内に包み隠さず公表 公平、正義という価値観が醸成される
今回は、働き方改革の1つの柱であるグローバル人材の発掘や育成の事例と言えよう。特に、人事部長の判断がポイントだ。私が導いた教訓を述べたい。
①ここがよかった
仁慈部長の先見性
人事部長の発想の転換は当たり前のようでいて、実はそうではない。過去の選抜である程度の成功体験があるのだから、その路線の問題点に気がつくのは容易ではない。たとえ、現在の路線の行く末の危うさを察知したとしても、本格的な大企業で選抜方法を変えることは難しいはずだ。それでもなおも、役員の了解などを得て軌道修正するのだから、高く評価されてよいのではないか。
先見性のある管理職を人事部長に抜擢したことも、評価されてよい。人事の司令塔に据える人が問題意識旺盛で、課題を見つけることができなければ、多くの社員の可能性が潰されてしまいかねない。
②ここがよかった
バイタリティに着眼して選抜
私がヒアリングをしていると、大企業や中堅企業のグローバル人材の選抜の仕方は約20年前に比べると、英語力を重視する傾向が多少変わりつつある。だが、その方向性が明確に定まっていないようにも見える。今回のメーカーのように、片言の英語でも恥じらうことなく、意思疎通をして仕事を前に進めるバイタリティーやタフネスさに目をつけて選抜する会社は、依然として少ない。特に、他の会社への出向で、ある意味で異文化の職場で実績を残してきた人に狙いを定めたのがよい。グローバル人材を選ぶうえで、盲点だと私は思う。
神南文弥 (じんなん ぶんや)
1970年、神奈川県川崎市生まれ。都内の信用金庫で20年近く勤務。支店の副支店長や本部の課長などを歴任。会社員としての将来に見切りをつけ、退職後、都内の税理士事務所に職員として勤務。現在、税理士になるべく猛勉強中。信用金庫在籍中に知り得た様々な会社の人事・労務の問題点を整理し、書籍などにすることを希望している。
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