沈まぬアパレルその8 変化するSCとアパレルの関係性

流通ジャーナリスト:森田 俊一
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かつてアパレルの成長の原動力だったショッピングセンター(SC)だが、時代の変化と共に、エリアは地方から大都市圏へシフトし、テナントの主役も「物販」から「エンターテイメント」「飲食」に変わりつつある。現在のSCは、資本力のある“勝ち組”アパレルには「何でもあり」の有力チャネルにみえているのかもしれないが、“負け組”にとってはもはやそうではなくなっている。SCとアパレルの関係は今後どう変わっていくのだろうか。

ショッピングセンターイメージ

SCのアパレルテナントは「同じ顔ぶればかり」

 「最近、どこのSCもアパレル系はテナントが同じ顔ぶれじゃない」

 こう話すのは、ある40代の産業系新聞の女性記者である。

 今も昔も、SCのデベロッパーは新しいアパレルテナントの誘致に心血を注いでいる。だが近年は、高額な家賃を払えるテナントが少なくなっている。デベロッパー側も勢いのあるアパレル企業を厚遇して“好立地”に入れるため、余計に特定のブランドが目立つというのである。

 民間の調査会社、矢野経済研究所によると2018年の国内アパレルの総小売市場規模は対前年比0.1%増の9兆2239億円だった。今回は微増となったものの、アパレル市場は漸減傾向が続いている。

 落ち込みが顕著なのが「婦人服・用品」で、14年から2%、金額にして1872億円もシュリンクしている。この減少傾向は歯止めがかかる気配がなく、まさに「アパレルデフレ」といった状態だ。

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