登場から半世紀のコンビニ、次の50年を生き延びる方法とは

2024/07/12 05:58
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日本にコンビニエンスストアが登場して半世紀。これまで数々のチャレンジ、変革により、現在は生活者から強い支持を得るにいたっている。本多コンサルティング(東京都)の本多利範氏は「中でも『セブン-イレブン』が小売業界に与えた影響は大きい」と話す。
本稿は連載「教えて本多利範さん!」の第8回です。

tang90246/iStock

日本流コンビニ常識破りの50年

 高度経済成長期だった日本で1970年代初頭、コンビニが産声を上げる。

 イトーヨーカ堂は1973年11月、アメリカで4000店舗の小型店を展開するサウスランド社(現7-Eleven,inc.)と提携してヨークセブン(現セブン-イレブン・ジャパン)を設立。同社は翌74年5月、東京・豊洲に「セブン-イレブン」1号店をオープンした。

 その後、1975年6月にローソンの1号店がオープンしたほか、1978年3月、西友ストアー(現西友)がフランチャイズ・システムによるコンビニエンスストア事業(ファミリーマート)を開始。1980年7月にはミニストップ1号店が開業している。

 当時の小売業は大型店舗の時代であり、規模のコンパクトさからコンビニは「大きい店に勝てるはずがない」と否定的な声も少なくなかった。しかし数々のチャレンジ、変革により、現在は生活者から強い支持を得るにいたっている。この半世紀を振り返れば「日本流コンビニ常識破りの50年」と言っていい。

 その中、業界を牽引してきたのは、社会の常識を打ち破り続けてきた「セブン-イレブン」である。

 その一つは営業時間。開業当初、朝7時から夜11時までの営業だったが、1975年、福島県で24時間営業を開始、「いつでも開いている便利なお店」としての認知を広めていった。

 商品面でも、常識を覆す日本流の品揃えを行った。おにぎりはその一例だ。当時は家庭料理だったが、1970年代後半、「セブン-イレブン」は食べる直前に自分で海苔を巻く手巻きおにぎり「パリッコフィルム」を考案。発売当初の販売数は1店舗当たり1日2〜3個だったが、パリパリとした食感が話題となり、家庭とは違うコンビニならではのおにぎりが世の中に定着していった。

 おでんも同様だ。「家庭の味」を手軽に食べられるファストフードとして販売したのは「セブン-イレブン」が最初である。1979年、おでんウォーマーを開発すると同時にレジカウンターでおでんを展開した。その後も、味を追求した商品開発により、「セブン-イレブン」を代表する商品に育っている。

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