物語コーポレーション、初のファストカジュアル「焼きたてのかるび」にヒットの手応え
2~3㎞商圏のお客にリピートしてもらうには
焼きたてのかるび事業部長の笠原氏は次のように語る。
「『焼きたてのかるび』はファストフードに近い商売だが、『物語コーポレーションらしさ』も表現していきたい。小さい店ではなく、カジュアルレストランの居心地のよさを感じさせる適度な広さ。オープンキッチンで従業員がてきぱきと働いている様子を見せることで安心感を抱いていただく。あるいは、キッチンからお客さまに爽やかにお声掛けをする。このような取り組みで、当社らしさを表現していく」
焼きたてのかるびでは、店舗面積35坪~40坪を標準とし、20台の駐車場を含めて敷地面積は300坪。月商は900万円を想定する。
出店は、同社の「焼肉きんぐ」「寿司・しゃぶしゃぶ ゆず庵」と同様に郊外のロードサイドを中心だったが、「これまでのノウハウがあまり通用しない」(笠原氏)という。
「『焼肉きんぐ』は人口15万人を商圏とするのに対し、『焼きたてのかるび』の商圏は5万人ほど。つまり、「焼肉きんぐ」の3倍は店舗をつくることができる。1店舗当たりの利益額は『焼肉きんぐ』の方が圧倒的に高いが、3倍の店数を出店することで『焼肉きんぐ』に近い利益額を稼ぐことができる。
これまでの事業展開で見えてきた「焼きたてのかるび」は“適地”は、ロードサイドの中でも住宅街が近接するエリア。この立地でテイクアウト45%、イートイン55%の構成比だとういう。ちなみに「焼きたてのかるび」では現在、「岡崎北店」「千葉弁天店」「清水春日店」「座間立野台店」の4店舗でドライブスルーを併設している。このタイプの店舗では、テイクアウトを目的とするお客がドライブスルーに流れ、岡崎北店ではドライブスルーの利用率が25~30%ほどで推移している。いずれにしろ、テイクアウトに強い業態と言えるだろう。
「焼きたてのかるび」は今後の展開について、笠原氏は「5年間で100店舗体制をめざす」と話す。オペレーションはアルバイトがメインで、1店舗当たりの社員数は1~2人となっている。「ただ、効率化を進めていくと、専門性の実現が難しくなる。何かをプラスしたら何かをマイナスしなくてはならない。専門性も重要だが、標準化や簡素化も重要だ」(笠原氏)。専門性が高いフードを値ごろな価格で提供するためには、トレードオフが必要というわけだ。
「焼きたてのかるび」の店舗から2~3圏内の住民を主要顧客としており、今後の成長にはリピートをどう高めていくかが重要になる。「メニューをころころ変更するのではなく、期間限定商品のアピールに力を入れている。夏季に発売した『すだち冷麺』は非常によく売れた」(笠原氏)。「焼きたてのかるび」は「焼肉きんぐ」に並ぶ成長業態となるか。物語コーポレーションは確かな手応えを感じているようだ。