諦めない業界団体、登録販売者「不要論」へ起死回生の一手!?
厚生労働省の「医薬品の販売制度に関する検討会」(販売制度検)で「不要論」につながる制度改正が固まった登録販売者(登販)だが、本当の結論はまだ先だ。販売制度検の報告書を受け、来年早々から上部の会議体である厚生科学審議会で再度検討を行い、ここでの結果を受け、厚労省が改正法案を作成し再々度、国会で審議する。今後、こうした過程のなかで「不要論」を打ち消すチャンスはまだある。本稿は全6回からなる短期集中連載「忍び寄る登録販売者『不要論』」の第5回です。
日登協が画策する全薬協との「合併」
日本医薬品登録販売者協会(日登協)は「不要論」の撤回へ、次の策を窺う。厚労省の担当課長に提出した「今後、反対意見を出さない」といった誓約書の効力は依然として残るものの、“奥の手”を準備しているようだ。そして、その一手を強力に補完するのが「組織力」であり「政治力」、すなわち「数」だ。
日登協は、2006年の改正薬事法の可決成立を受け、2007年に設立。初代会長には全日本薬種商協会の会長だった鎌田伊佐緒氏が就いた。すでに触れたように鎌田氏が組織の先を見据え、薬種商とドラッグストア(DgS)業界の融合を目指していたことが逆に協会内の反感を生み、業界団体が2つに分裂してしまった。
それぞれの組織が独自の道を歩んでいるのだが、日登協は日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)に所属する登販の「教育・研修機関」として、その役割を担ってきた。現在は、2代目の樋口俊一会長(JACDS副会長)のもとで、会員数は5万3000人に達する。また、受験資格や管理者要件などの制度変更に対応するため、2021年には「政策提言」をミッションに加えた。政治力の行使へと舵を切った格好だ。制度改正に翻弄され続ける状況に対して“物申す”団体を宣言したのだった。
対して、薬種商協会から移行した全日本医薬品登録販売者協会(全薬協)は、ピーク時には約1万4000人の会員を擁していたものの、現在の会員数は「恥ずかしくて言えない」(全薬協幹部)ほどにまで減少。数千人程度と見られ、県単位の組織もすでにいくつかが解散し、衰退の一途を辿っている。かつては調剤を行わない「薬店」として一定程度の存在感を示していたものの、DgSの隆盛に圧され、「薬店」という言葉すら見当たらなくなった。
ただそれでも薬種商は店舗の建物自体に与えられる資格であったことから、全薬協の会員はすべてが「経営者」。会員数が激減したとはいえ、ギリギリ政治力を保っている。そこで日登協が画策するのが、全薬協との「合併」だ。業界団体が一本化し、統一することで内外へのプレゼンスは高まる。すでに日登協は秋波を送っている。