ブランドは<作る>ものではない!流行りのマーケティングからブランドが生まれない必然の理由!
真似をしてブランドを<作ろう>とするから、価格競争に陥る
ブランド化に成功した企業や組織は、もともと潜在的に、その<筋>を持っていたということをよく理解しておきたい。ここがわからないから悲劇が生まれる。実際、私が過去ブランド化に成功したケースでは、組織設計とエンパワーメント(権限委譲)、組織理念の共有という3つがキーワードだった。つたない経験ではあるが、決して、流行のマーケティングプロセスからうまれたものはなかったし、そうした表面的な手法は何の効果ももたらさなかった。元々組織がもっている潜在的に持っている価値を顕在化させること。これが、ブランド化である。
多くのアパレルが、表面的に「流行っているもの」の真似をし、ブランドを<作ろう>とする。だから、世にある「ブランド、実は分類名」は価格競争に陥る。ブランドの悲劇は、我々がまだ消費者として成熟していなかった時代に「名前をつけておけば高価格で売れる」という美味しいビジネスが世を席巻し、また、事業者が前述のように「縦の線」と「横の線」を混同し、安易なやりかたで我が世の春を謳歌した歴史があり、こうした差別化戦略よりもオペレーション技術ばかりがハイライトされ、オペレーション偏重主義に陥ったことが原因だ。
これからの時代は、好むと好まざるとに関わらず、付加価値の低いものは淘汰されるか、デジタルディスラプションによって消えてゆく。そのとき、自社の製品、商品、サービスが高い付加価値を持ち、そして、その付加価値の印としてブランドが君臨する時代が来ると私は思う。ブランド化とは、組織の業務プロセスや組織体質の改革そのもので、その組織が持つ価値観、守るべきもの、やってはならないことのルールを、全員が心のそこから感じることで生まれるのである
プロフィール
河合 拓(事業再生コンサルタント/ターンアラウンドマネージャー)
ブランド再生、マーケティング戦略など実績多数。国内外のプライベートエクイティファンドに対しての投資アドバイザリ業務、事業評価(ビジネスデューディリジェンス)、事業提携交渉支援、M&A戦略、製品市場戦略など経験豊富。百貨店向けプライベートブランド開発では同社のPBを最高益につなげ、大手レストランチェーン、GMS再生などの実績も多数。東証一部上場企業の社外取締役(~2016年5月まで)