ヤフーは7月17日、連結子会社アスクルが8月2日に開催を予定している定時株主総会で、岩田彰一郎社長の再任に反対することを表明した。アスクルの11%強の株式を持つ第2位株主のプラスも同日、ヤフーに賛同して岩田社長の再任に反対すると発表した。ヤフーとプラスを合わせると持ち株比率は56%強となり、現状では岩田社長の再任議案は否決される可能性が高い。
ヤフーとアスクルは2012年4月に資本・業務提携を結び、ヤフーが筆頭株主となった。ヤフーは現在、アスクルの株式の約45%(議決権ベース)を保有している。両社は12年10月から、個人向けインターネット通販(EC)事業「LOHACO(ロハコ)」を展開している。
今回の対立の背景にはロハコ事業の低迷がある。ロハコを主体とするアスクルのBtoC事業は赤字が続いており、19年5月期も前期とほぼ同水準の92億円の営業赤字を計上した。アスクルによれば、ヤフーは19年1月、ロハコ事業のヤフーへの譲渡を打診、アスクルがこれを拒否したところ、6月27日にヤフーの川辺健太郎社長が岩田社長に退陣を求めたという。これに対して、アスクルは7月17日に資本・業務提携の解消を申し入れたが、ヤフーは拒絶した。
ロハコ事業の赤字に加えて、アスクルの主力事業であるBtoB事業(アスクル事業)の成長が鈍化傾向にあり、19年5月期の連結業績は会社予想を下回った。このため、ヤフーは岩田社長の経営能力に疑問を呈している。一方、アスクルは20年5月期の連結業績は、営業利益が前期比約1.9倍の88億円と大幅な回復を見込んでおり、引き続きBtoB事業とBtoC事業のシナジー実現に取り組むとしている。