ポリエステル繊維で緑化?古着リサイクルの先行くPLUS∞GREEN PROJECTの未来像
ポリエステル繊維リサイクル培地「TUTTIⓇ」のポテンシャル
土に代わるといっても、重さは約5分の一ほど。経年劣化しにくく、虫も発生しにくいため、室内栽培に適しており(無機肥料使用の場合)、扱いやすさにすぐれる。同製品は現在、自社ECのほか、竹中庭園緑化のショップや公式オンラインショップ、アパレル企業バロックジャパンリミテッドのショップ「SHEL’TTER GREEN」などでも販売されており、手軽に入手できる。
ただし、あくまでも無機的な人口土であり、微生物を含んだ自然の土とは異なる。「オーガニックではないという声もあるのは事実だが、リサイクルという別の視点で考えてほしい」と坂本氏は話す。
同プロジェクトでは、反毛と呼ばれる綿の状態に戻してから再利用されており、TUTTI販売の他、TUTTIを活用したレンタルグリーン、ポリエステル繊維を活用したボードの販売、TUTTIで育てた植物から製造した製品の販売などで横展開しつつ、ビジネス面での可能性も追求する。
持続可能な社会をより一般的に
「持続可能」をキーワードに、世の中の潮流もリサイクル推進へと傾きつつある。一方で、そうした取り組みが、一般消費者へまで広く、深く浸透するものになっているかというと、微妙なのが現状だ。
「このプロジェクトをきっかけに共働、共創が広まって欲しいし、そうでないと本当の意味の広がりにはなっていかない。すでにいくつかの企業との共働、共創も実現しており、問い合わせも増えている。そうした『点』がつながっていくことで世の中から廃材が減り、新たな価値が付いた製品が広がっていくことで一般消費者のマインドが底上げされてくれれば、プロジェクトの意義もある」と坂本氏。
古着や廃材から緑が生まれ、地球がクリーンになる。そんなロマンあふれるスト―リーに、一消費者や企業が登場人物として加わり、その輪がどんどん広がっていくーー。ハッピーエンドしか想像できない、サステナブルな取り組みとしては秀逸なシナリオだけに、しっかりと社会に根付いてほしいものだ。