「食を通じたライフデザイン企業」めざし、新しいSMを創造=光洋 平田 炎 社長
──実際、店舗ではどのような商品があるのでしょうか。
平田 青果部門では、カットフルーツやサラダ、鮮魚部門では寿司や刺身のほか、焼き魚や煮魚といった魚総菜、また精肉部門においてはローストビーフなどの品揃えを充実しているところです。モデル店に位置づけているのは今年4月、リニューアルオープンした「KOHYO SENRITO(センリト)店」(大阪府豊中市)。それら生鮮素材系の即食商品を積極的に投入しており、お客さまからは好評をいただいています。今後、同店の成功事例を新規出店のほか既存店にも少しずつ波及させていく計画です。
──一方、商品のおいしさそのものを追求する取り組みはありますか。
平田 そもそも味は、人の感覚によるものであるため、絶対的な尺度がないのが特徴です。当社では現在、商品の味付け、香り、食感のほか、できたての要素である温度も重視する一方、天候や気温といった環境的要因、またお客さまが住む地域で好まれる味も勘案しながら、基準を定めているところです。
単純に「店内加工だからおいしい」という、従来の考え方をそのまま踏襲するのではなく、アウトパックやキット商品も取り入れながら、当社が持つ経営資源を活用し品揃えを再構築していく考えです。
人の意欲喚起がキーポイント
──イオングループが全国のSM事業会社の再編を進める過程で、今年3月、マックスバリュ西日本(広島県/加栗章男社長)から兵庫県内の8店を承継しました。
平田 競争の激しいエリアに立地し、また長らく手を入れられていなかったこともあり、いずれも現状は赤字です。下期から本格的に活性化を図るための施策を打つ計画を立てているところです。
ピーコックストアを黒字転換した経験を通じて得たのは、再生のポイントは店舗で働く従業員のモチベーションであるということです。いうまでもなく店を運営しているのはヒトであり、彼らの意欲を喚起することこそが重要だと強く再認識しました。
──実際、ピーコックストアではどのような取り組みにより従業員の意欲を喚起できたのでしょうか。
平田 不足していた人員を投入したのは前述のとおりですが、さらに店舗へこまめに足を運び、従業員とコミュニケーションを積極的に図りました。従来、慢性的な赤字にあり、現場の雰囲気は疲弊していると感じました。それに対し、「売りたい商品を売ってもいい、つくりたい売場をつくってもいい」というメッセージを地道に伝え続けたのです。徐々に、成果に結びつき、それを見た他店も同調するように業績は上がっていきました。
──ダイエーとの経営統合に関して、課題は何ですか。
平田 互いに、立地により規模や売場が異なるマルチフォーマットを持っている点です。当社はSM、ダイエーは総合スーパーであるため、幅広いフォーマットをいかにまとめるかは重要なポイントとなります。一方、当社についていえば既存店の競争力強化、また都市部向けの小型モデルの完成など、クリアすべき課題は多くあります。
当面は、新たなSMづくりを志向し、現在力を入れる新たな品揃え、店づくりを進める一方、教育にも力を入れることで、店舗網の強化を図っていく考えです。