4月17日から19日、第22回惣菜デリカ・弁当・中食・外食・給食・配食業務用専門展「ファベックス 2019」が開催された。このファベックス2019内で日清オイリオグループの生活科学研究グループの手によって、「2019年消費トレンド」が発表された。食品スーパーにとって、見逃せない潮流とは何だろうか?
平成の食は3つのトピックでまとめられる!
日清オイリオグループの生活科学研究グループは、1994年3月から約25年にわたり、食生活を中心とした社会全般の動向を継続的にウォッチし、社会環境や生活者の価値観の変化、それらに起因する生活習慣の動向などについて、調査・情報発信を行ってきている。
では、今回のFABEX2019において、生活者のマインドの変遷をたどりながら「2019年消費トレンド」の予測を明らかにした。
まず、「食と健康」に関する平成のトピックスとして、《家庭の食卓》、《流行食》、《健康ブーム》の3つをあげている。まずはこの3つのトピックを解説していこう。
《家庭の食卓》
バブル崩壊により、内食回帰が進み、家庭では経済的なメニューが主流になった。その後、コンビニエンスストアが急増すると、弁当・総菜などの「中食」が一般家庭にもじわじわと浸透し始める。共働き世帯が増え、女性の社会進出が進むと、簡便調理へのニーズが徐々に拡大していった。そして、調理の「時短」「簡便化」が定着、それらをサポートする調理器具やレシピ本なども多数登場した。その一方では、手の込んだ料理を作り、SNSなどで発信・共有する層も目立ってきている。
《家庭の食卓》における近年のトレンドとして、「ふだんは時間をかけない簡便調理」「その中でも、味や見栄え等ワンポイントで、自分のこだわりを盛り込む」「レシピ動画を参考にしている人も増加傾向」といった点をあげている。
《流行食》
平成時代の節目を飾った代表的な《流行食》として、「ティラミス」⇒「エスニック料理」⇒「海外系ドーナッツ」⇒「甘酒」⇒「抹茶」をクローズアップ。近年のトレンドとして、抹茶や甘酒、サバ缶など「日本に昔からあるもの」や「以前に流行った食品のリメイク版」の流行、海外からの評価を受けて国内で再ブレーク、をあげている。
《健康ブーム》
平成の30年間を通して廃れることはなかったが、「痩せる石鹸」⇒「サプリメント」⇒「ヨガ」⇒「デトックス」⇒「肉体改造ジム」といった流れがあったとし、近年のトレンドを「良質なものを摂りながら運動する近年のスタイルにおいて、食と運動は綿密に関係している。ダイエットの主流が“楽に痩せる”から“運動してボディメイクする”ことに変化。」と指摘している。
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いよいよ令和元年の消費トレンド予測
令和元年の消費トレンドはこれだ!
続いて、2013年からの生活者マインドの変遷についてキーワードによる分析を試みている。
2013年は「想い・団らん・緩む緊縮」。2011年の東日本大震災の影響により、人とのつながりやきずな(家族や身近なグループ)を大切にする集団的な考え方が主流になっていた。2015年になると「共感・高意識・承認欲求」。個人の心を満たす感動・驚き・発見を欲する一方で、SNSなどを通じて、他人の共感を求めるようになった。そして2017年は「多様・リベラル・魅せる」。好奇心をそそるアレンジ定番・見映え料理・食シーンなどに高揚・喜びを感じるようになり、投稿したい(魅せたい)という意識が強く現れるようになった。
当日、会場に居合わせた担当者は「個人個人の多様性や自分らしさ、“自分でいいんだ”という意識が徐々に強くなっている」という見方をしている。
最後は、いよいよ「2019年消費トレンド予測」だ。
生活者マインドとして強く意識されるのが「原点回帰・保守・個性」だという。2019年は「ヒト」も「モノ」も、ありのままの価値が認められ、個性や本来のかたちを大切にする意識が強くなる。
「インスタやSNSによる共感、承認欲求が、インスタ疲れ、SNS疲れを招くようになった。これまでは『(とくに見映えを重視して)みんながきれいと思うようなもの』をアップすることに終始してきたが、個人個人の価値観、素直に『自分がきれい』と思うことを発信するようになるのではないか」(担当者)
つまり、自分に合っているもの、自分が食べたいものを自然に考え、「流行っているから」食べに行くというより、「自分が食べたいと思うから」という視点が増えていくと分析。
その結果、2019年消費トレンドは次の4つにまとめられると予測している。
①おうちごはん“ちょっとのこだわり”
“時短、簡便”は当たり前だけど、「心身ともに健やかな食生活を送りたい」
②良質な素材で“健康美”
良質な“素材”を食べることが、「健康、美、カッコイイ、おしゃれ」
③日本人が“ニッポン、再認識”
日本の“文化、モノ、食”を「大事にしていきたい、守っていきたい」
④“チャレンジ”のきっかけは動画
(調理の)工程を視聴することで、「これだったら、わたしにもできる」