ヤオコー23年3月期上期決算は増収減益で着地!それでも通期は増収増益を見込む理由
デリカが伸長!粗利益は“率”ではなく“高”をとる
部門別の売上高構成比を見ると、生鮮部が前年同期から0.8ポイント(pt)減の33.4%、グロッサリー部が同0.2pt減の51.2%だったのに対し、デリカ事業部が同1.0pt増の15.4%と大きく伸長した。ただ、部門別の粗利益率では生鮮部が同0.85減、グロッサリー部が同0.28%減、デリカ事業部が同0.92減といずれも悪化している。
これについて川野澄人社長は「デリカ事業部については、デリカセンターによる粗利益が着実に増えており、全社利益にも貢献している。原材料高騰がある中で、センターの粗利益率を上げていくのは難しい。だが、センターのキャパシティにはまだ余裕があるので、センター商品の出荷高を増やすことで、粗利益“高”をとっていきたい」と話す。
ディスカウントフォーマットは思わぬ苦戦?
出店戦略では、上期は「大宮櫛引店」「横浜磯子店」「八王子鑓水店」を出店したほか、ヤオコー屋号の「秩父大野原店」を「フーコット秩父店」に転換した。下期は「加須店」「トナリエ宇都宮店」「草加松原店」とヤオコー屋号で3店舗を出店する計画だ。
21年8月に1号店を出店したディスカウントフォーマットのフーコットは、上期の「秩父店」の出店により、現在3店舗体制となっている。「フーコットはプロセスセンター(PC)から商品を供給することで生産性を上げるモデルであるため、現在の店舗数ではPCの効率を上げきれていない。早期に5~6店舗体制にする必要がある」(川野社長)。
「エイビイ」を含めたディスカウントフォーマットへの手応えについて、川野社長は「フーコットはほぼ計画どおりに推移しているが、エイビイについては一部の店舗が自社競合で苦戦している」と話す。「(ディスカウントフォーマットは)ポイントカードがないため、お客さまの動きをとらえきれていないが、値上げが相次ぎ価格感度が高まる中で、ヤオコー店舗ではハイ&ローで安い商品を差し込むことで割高感を薄めている。一方、EDLP(エブリデイ・ロープライス)政策では価格が変化しないため、値上げによる割高感が強く出てしまう」(川野社長)。値上げ時代の救世主になるかと思われたディスカウントフォーマットだが、足元では思わぬ苦戦を強いられているようだ。