驚異のEDLPで快進撃、売上高2000億円を突破=オーケー 飯田勧 社長

聞き手:千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
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最新技術も古いノウハウも導入する

 ただ、オーケーは、「借入なしで年率30%成長」の旗を降ろしたわけではない。14年3月期の達成に向けて、さまざまな仕組みを創り続ける。

 売りを支える仕組みも最先端の技術から浪花節調のノウハウまで次々と取り込んでいる。

 「他の小売業さんと同じことはやりません。違うことばかりやっています」と飯田社長は自信の表情だ。

 そして、その代表例は、革新的冷凍技術のCAS(Cells Alive System:キャス)を導入していることだ。食品の水分子を動かし、細胞組織を壊さずに凍結できる技術である。この活用によって、生鮮食品を解凍しても本来の旨み、食感、色、風味を維持することができるようになった。03年に導入を開始。全店舗のバックルームに約15平方メートルの保管庫を設置した。そしてCAS凍結による船上ワンフローズンのマグロを販売している。

 産地で凍結したCAS商品以外にも、他の冷凍食材・冷凍食品の保管に使用している。海産物、農産物、畜産物のCAS仕様商品も増えおり、消費期限が延びるとともに廃棄ロスがなくなり、低価格訴求のための強力な武器となっている。

 「オネスト(正直)カード」の取り組みも見逃せない。

 「只今販売しておりますグレープフルーツは、カリフォルニア産で酸味が強い品種です。フロリダ産の美味しいグレープフルーツは2月中旬入荷予定です」

 「長雨の影響でレタスの品質が普段に比べ、悪く値段も高騰しています。暫くの間、他の商品で代替されることをお薦めします」

 「本日販売しておりますスイカは日照不足のため糖度が不足しています(糖度約10度)。お差し支えなければ、他の商品のご利用をお薦めします」

 などなど、あえてマイナス情報を記したPOPを貼り、できるだけ正確で正直な商品情報を消費者に知らせる仕組みだ。

 「もともと商店の発想なのです。商店街にあった八百屋さんは、『酸っぱいけど、蜂蜜をかければおいしく食べられる』という具合に、お客さまに対して会話の中で本当のことを話したものです。また、実際に品質の悪い品物を仕入れても売れないものです。結局、購入されたお客さまにご迷惑がかかります。品物の悪い日は仕入れない、仕入れた商品には『オネストカード』を付ければ、われわれもお客さまも得をするのです。それがまた安く売ることのできる原資になります」(飯田社長)。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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