価値商品を開発、売り込むことで1点単価の引き上げを実現=オークワ 福西拓也 社長兼COO

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──販促面では、チラシ以外にどのような打ち手を施していますか?

福西 当社はフリークエント・ショッパーズ・プログラム(FSP)を実践しています。お客さまを「健康志向」や「価格志向」などの属性に応じていくつかのグループに分け、属性ごとにクーポンを適時発行し、来店動機につなげています。

 オーカード(自社ポイントカード)利用のお客さまを、購入金額が多い順にM4~M1(Mはmonetaryの略で購買金額のこと)まで4段階に分けて分析したところ、M3とM4のお客さまの数は全カード会員の14%にすぎないのですが、実に売上構成比の50%を占めるのです。この層のお客さまから嫌われずに、同時にM2をM3に、M3をM4に引き上げていきたいところです。そのため当社は、とくに大切なお客さまに対して、ダイレクトメールなどを送付しています

──購買履歴を活用して、バスケット分析も行っていると聞きます。

福西 ええ、食用油を特売チラシに掲載すると、パン粉も一緒に売れるなど関連性がはっきり見えますから、バスケット分析の結果を販促に生かしています。

 こういうデータはたくさんありますから、うまく活用して、よりお客さまにとって買いやすい売場や棚割、プラス1品につながる売場づくりを実現していきたいです。

──新しい販促や売場提案の可能性に満ちていますね。それができてくると、いよいよチラシの必要性はなくなってくるのではありませんか?

福西 すでにチラシとポイントに使う販促費は年々減少中で、販促費はFSP関連費用に重点的に移しています。やみくもにチラシを打って売上をあげるのではなく、お客さまの動きを分析しながら、効果的な販促を心がけています。またそうしなければ、とても利益は残りません(笑)。

 当社は、目標とする販促分配率(対粗利益高)を7.5%に設定しています。不動産分配率もできるだけ低く抑えて出店しておりますから、競合他社さんよりも損益分岐点が低い構造になっています。

トヨタかんばん方式を導入 効率化を図る

──さらに販売管理費率を引き下げるべく、今年1月に業務改革室を新設しました。そして豊田自動織機(愛知県/豊田鐵郎社長)からコンサルタントを招き、カイゼンに取り組んでいます。

福西 プロジェクトチームを立ち上げて、SSM業態の本社中島店(和歌山県)で実験・検証を開始しています。コスト削減、生産性の向上、ジャスト・イン・タイムを追求しており、単店の業績ではありますが、10年8月期の販売管理費が対前期比で7.1%減となるなど着実に成果を出し始めています。

 現在は、7つあるゾーンそれぞれ1店舗ずつ水平展開を始めており、今期中に21店舗にまで拡大する予定です。

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