価値商品を開発、売り込むことで1点単価の引き上げを実現=オークワ 福西拓也 社長兼COO
──具体的には、どのような施策で、1点単価を上げようとしているのですか?
福西 たとえばステーキ肉では、通常の倍ぐらいの厚切りにして、1ポンドステーキという名称で売り出したところ、たいへんよく売れています。厚みがあったほうが豪勢ですし、おいしそうに見えるからです。そんな普通のアイデアの積み重ねです。しかし、だからこそ難しい。
ディスカウントストア(DS)業態の「プライスカット」でも同様です。
鮭を売るにしても、従来はトラウトなどの安い鮭を1切れ70円で販売するなどしていましたが、そうではなくグレードの高い北海道産やカナダ産のサーモンなどのよい品を、競合他店よりも安い価格で売り込むようにしています。
まぐろも冷凍ではない中トロを品揃えます。当然1切れ当たりの値段は高いですから、単価が上がります。単価は高いけれども、このような価値商品が他店よりも割安であれば、お客さまは支持してくださるのです。
現在、商品部にはそうした価値訴求型商品を重点的に開発するように指示しています。
ナンバーワンカテゴリーをより多く持つことで差別化
──価値訴求型商品を開発して1点単価アップを図る一方で、競合他社との戦いに勝ち残るためにはどのような施策を打っていますか?
福西 競合他社と差別化するには、売場に特徴を出すことが肝要で、その手法としては、ナンバーワンカテゴリーをより多く持つことだと考えています。
これは一朝一夕でできることではありませんから、農産部門はこれ、畜産部門ではこれ、というように、競合に絶対負けないというカテゴリーを、一つひとつ増やしています。それによって、そのカテゴリーを目当てに来店されるお客さまが増えていけば、他社にない強みになるはずです。ただ悠長に構えている余裕もありませんから、スピード感を持って取り組むように努めています。
その戦略に気づいたのは、02年ぐらいに、大桑啓嗣現副会長とアメリカの小売業を視察に行ったときです。世界一の小売業であるウォルマートを相手に、規模でははるかに劣るリージョナルチェーンであるHEバット社が優位に戦いを進めていました。
HEバット社の戦略は、(1)価格感度の高い商品はウォルマートに負けない価格を打ち出す、(2)圧倒的なSKU数で差別化、(3)そして複数業態展開戦略による商圏の深耕、の3つでした。
当社でも価格感度の高い商品は、競合他社に負けない価格を打ち出し、強化カテゴリーにおいては圧倒的な品揃えで差別化する。これを徹底的にやり続けていきます。