相鉄線沿線の駅周辺や「駅ナカ」への出店を進める=相鉄ローゼン伊藤英男社長

聞き手:千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
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──沿線価値向上という相鉄HDの戦略に呼応して、相鉄ローゼンの戦略も立案、実行されている。

伊藤 そうです。その戦略が、10年9月に発表したグループ戦略ビジョンである「ビジョン100」です。これは相鉄HDが17年に創立100周年を迎えるに当たり、10年後の19年度を見据えて策定されたものです。

 20年までの間に、相鉄線の沿線環境は様変わりします。15年にJR湘南新宿ラインとの相互直通運転がスタートし、二俣川駅から渋谷駅や新宿駅に直行することが可能になります。そして19年には東急東横線との直通運転がスタートするのです。これにより、相鉄線沿線にお住まいの方の利便性が高まり、とくに東京都心へのアクセスが格段に向上します。

 沿線環境が大幅に変わることを契機に、再度、沿線価値の向上を図ろうというのが「ビジョン100」のテーマです。その沿線価値を決める重要な要素の一つが、食品をはじめとする生活必需品を便利に買物できるという生活環境です。つまり、沿線価値向上には、当社は不可欠な存在であり、より地域のお客さまにとって魅力的な店にするためにも、早期の経営力アップが急務なのです。

──その実現に向けて、伊藤社長に白羽の矢が立った。

伊藤 そうです。ただ、基本的な構造改革の方向性は、春日徹夫前社長が、丸紅さんとの業務提携締結を含めて、しっかりと打ち出したものです。したがって、春日前社長が定めた構造改革路線を踏襲し、執行するのが私の役割になります。

 すでに、丸紅さんより野口公一副社長をはじめとする幹部が派遣され、構造改革に取り組んだ成果は、売上にはっきりと出ています。ですから営業面については、経験豊かな野口副社長に委ねて、陣頭指揮をとってもらいます。

 一方、私は負の遺産処理など、当社の基本構造に改革のメスを入れる役割です。せっかく従業員が一丸となって営業利益を上げてくれたにもかかわらず、支払い利息などのせいで最終利益が思うように上がらないのでは、モチベーションは下がってしまいます。

営業時間延長効果で、既存店売上高がプラスに

──直近の売上状況を教えて下さい。

伊藤 消費低迷が続く中で、10年度上期(10年3-8月)は既存店売上高を対前期比でほぼ1%減にとどめ、奮闘しました。客単価が下落する中にあって、客数増でカバーした格好です。夏場以降の売上も好調で、10年度第3四半期(9-11月)の既存店売上高は対前年比でプラスになりました。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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