2011年3月さえきHD始動!3~4年後、1000億円体制をめざす=さえき 佐伯行彦 社長

聞き手:千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
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 つまり、HD体制に移行するねらいは、エリアでお客さまの高い支持を得られる強い店づくりを実現するためです。エリアごとにそれぞれ社長を立てて、その社長のもとに一丸となって頑張ってもらいます。私は、基本的には口はださずに、そのエリアの社長にお任せします。そうすることで、自分たちの城は自分たちで守るという意識が芽生えますから、モチベーションも高くなるものと思います。

──もう一つのねらいとして、M&A(合併・買収)の受け皿にするという戦略的な意味合いもあるのではないですか。

佐伯 そうです。HD体制は成長戦略のための布石であり、新たな仲間づくりをするための受け皿です。

 さえきHDのもとには、事業会社としてさえきやフーズマーケットホック、茨城さえき(茨城県/岡本弘社長)、山梨さえき(山梨県)の全4社が連なるかたちになりますが、それと同様にHDに連なる事業会社をどんどん増やしていくイメージです。

 なお事業会社はさえきHDの100%子会社となるのが、理想的なかたちだとは思います。ただ、オーナーさんの意向もありますから、必ずしもすべてがそうなるとは限らないでしょう。したがって、最高決定機関はあくまでもHDにある、というルールを明確化したうえで、個別に協議していきます。

 現在、全国のSM各社では、オーナーさんがご高齢となり、世代交代の時期に差し掛かっています。このような厳しい消費環境と競争環境ですから、後継者問題に思い悩む経営者は数多くいらっしゃいます。そうした企業の受け皿になりたいのです。

 仮に各都道府県で年商200億円規模の企業が1社ずつHDに参加してくれれば、1兆円という規模になります。それも中央集権型の鈍重な組織ではありません。エリアごとに最適な売場づくり、MDを行うフレキシブルで強い勝ち組のSM集団が出来上がるのです。

 まずは3~4年後に、グループ売上高1000億円体制をめざしていきます。

ヒトの強さで勝ち残る

──HD体制への移行は、新たな成長戦略を描くうえでの大事なステップになります。ところで、佐伯社長はHDのトップと事業会社さえきのトップも兼ねるのでしょうか?

佐伯 いいえ、私はHDのトップだけに専念し、事業会社さえきのトップは別の優秀な人間に任せます。

 ある有力SMの経営者さんが、こんなことを言っていました。「50歳ぐらいまでは、現場を直接指揮してガンガン意見を言ったけれども、意に反してちっとも現場は改善されなかった。そこで、思い切って自分以外の信頼できる人間に任せたところ、みるみる現場がよくなっていった」と──。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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