不採算店整理や業務改善など内部改革に手応え、既存店をテコ入れ=天満屋ストア 橋本和雄 社長
橋本 2つあります。
1つは、数字、データを重視した経営です。誰もが同じデータを見て問題点や課題を共有するということです。
2つめは、従業員が常にコミュニケーションをとることにより、企業全体のベクトルを合わせたいと考えています。向かう方向性さえ同じであれば、すべての力は足し算になると考えることができます。従業員の力には差がありますが、能力がまだ身についていない人は、周囲にいる従業員が協力し合いながら引き上げていきます。何事も議論を通じ、目標に向かっていくことができればと考えています。
SM業務改善に手応え
水平展開で底上げ図る
──さて、11年2月期は減収になる一方で、営業利益は18億7700万円、対前期比37.3%増と大幅に改善しています。どのような取り組みによるものですか。
橋本 従来から力を入れてきた販売管理費の合理化の結果です。とりわけ大きいのは人件費の削減でしょう。
昨年6月には、35歳以上を対象として「セカンドキャリア支援制度」を活用しました。年齢によって異なりますが、退職金を積み増し、早期退職を募るというものです。「セカンドキャリア」という名のとおり、転職支援もするのが特徴です。これによって人件費を9.5ポイント削減することができました。
また5年前から継続的に進めているのは、店舗における作業改善です。営業力の強化と生産性の向上を目的に、本部前にある食品スーパー(SM)業態の「ハピーズ岡輝店」(岡山県)を実験店舗として、作業を合理化するためのモデル構築を進めています。
──具体的には、どのような作業を見直したのでしょうか。
橋本 まず、1日の作業を時間帯別に5つのブロックに分けます。そのうえで、それぞれの時間帯における作業を効率化していきます。
たとえば「朝1」では、開店前に売場担当者がその時間帯にすべき作業を整理します。そして、作業場の定位置管理の徹底や、作業動線などを見直すことで、ムダ、ムラ、ムリを排除して作業人時を削減していくというイメージです。
昨年、ようやく「岡輝店」で朝の開店から閉店するまでの1日の作業改善が完了しました。今年はSM7店舗に、その成果を水平展開していく計画です。
それと同時に1人の従業員が複数の作業をできるような「多能化」も推進しています。たとえば従来の総菜では寿司、煮物、揚げ物といった商品の種類により作業が分かれていました。多能化することで、これをお互いにカバーし合いながら、効率的に商品化できる体制へと移行しつつあります。
──総合スーパー(GMS)業態も展開していますね。GMSの作業改善はどのように進めていますか。