アークスとユニバースの経営統合は21世紀の流通革新の象徴=アークス 横山 清 社長

聞き手:千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
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三菱商事と三井物産から人材を招く

──「業務改革室」と「社長室」を設け、室長にそれぞれ三菱商事と三井物産から人材を招聘されました。

横山 われわれのやっていることが決して満足できる状況にないということで、三菱商事に一番優秀な人を出してくれないかとお願いしたのです。会社はいろいろな問題を抱えています。業務改革室の役割は、会社の問題を解決する「よろず相談解決係」とでも言ったらいいでしょう。

 加えて、従来の「秘書室」を「社長室」に変更して、三井物産からも人材を受け入れています。こちらにも、三井物産で最も優秀な人材を派遣してもらいました。

 両社を競わせているのではないかという見方もあります。それは競うといえば競うことになるかもしれませんが、三菱商事には株を少し保有していただいていても資本提携しているわけでもないですし、まして三井物産の保有株はゼロです。

 両社は、SMの業界再編が加速し、質も量も劇的な変化を遂げるという見通しなのでしょう。日本の流通の川下から川上までしっかり観察して、日本経済に寄与しようということではないでしょうか。

 直接、間接に両社とは取引関係にありますが、そういう諸事情が結晶化したということです。

 日本を代表する総合商社のやがては役員という幹部がSMの手伝いをするというのは、今までにないことでしょう。磁石のN極とS極なのか、N極とN極なのか、はたまたマグネットの効果が消えてしまうのか。どんなシナジーが出るのかわかりませんが、期待しています。

 また、商社機能は多彩で、投資先からリターンを得る場合もあれば、事業を直接手がけることもあるし、販路を広げるための基盤づくりというのもあります。その機能を十分に生かして、手伝ってもらうだけでなく、しっかりと手を組む場合も出てくるでしょう。

──道内は新規出店余地が少なくなってきています。成長戦略についてはどう考えていますか。

横山 道内の食品小売業の中で、アークスのシェアはまだ15%です。北海道の人口は550万人ですが、日本の国土の約22%も占めています。経営するうえでは極めて効率が悪い。規模の小さい企業はなおさらです。30年後に道内人口は100万人減少すると言われています。そういう環境を乗り越えるようなオペレーションをつくり上げるとすれば、われわれしかないだろうと思っています。

 札幌市近郊は賃料も高く、妥協して店舗をつくってきたようなところがありましたが、これからは効率の悪い店舗は多少コストをかけても整備していかないと後れを取ってしまいます。

 この基本スキームをどうつくるか、これからの課題です。人口が減って、縮小拡大の中で、最適条件の店につくりなおしていくという点からいえば、立地は無限にあるはずです。無限と言ったら言いすぎですが、まあかなりある。次のステップはそこだと思います。

 そのときには、新たな資本構築が必要になってくるでしょう。それは今、大手がやっていることとも違うし、われわれがやってきたこととも違う。具体的に何かというのは、私もこうだと言い切れないですけれども、これまでと同じ手法では難しいということは間違いないので、いろいろなことを模索しています。そのために、商社から招聘した人材の知恵も力も借りようと思っています。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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