アークスとユニバースの経営統合は21世紀の流通革新の象徴=アークス 横山 清 社長

聞き手:千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
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──八ヶ岳連峰経営を標榜されていますが、一つに合併したほうが統合効果も出やすいのではありませんか。

横山 みなさんそう思っていますが、みなさんが思っているようにすると失敗してしまうものです。

 一つにするというのはどういうことなのか。本当に一つにすると一心同体になるわけですが、一方で異体同心という言葉があります。異体というのは各社がそれぞれあるということ、同心というのはマインドもそうですが、ITもそうですね。けっして名前を一つにすることではなく、実質的に一つにする方法論を考えていくことが大事なのです。

 各社の経営資源も違いますし、運営技術も違う。それを調整しながら、マルチバナー(複数の屋号)で、志やシステムを一つに、顧客中心主義で利益をしっかり出して前に進んでいくということです。ITを駆使するにしても、人間の本来の習性を肌に感じながらやっていく必要があります。どんなに大きくなっても、中小零細企業の体質を、いい意味でも悪い意味でももち続けざるを得ないのが、食品小売業ですからね。

 でも規模が大きくなって、てんでバラバラではしょうがない。八ヶ岳の山は動かないけれども、企業は動いています。だから、「センチペイド・マネジメント」と言っています。要するに「ムカデ経営」。たとえば、仲間が佐渡島にもいれば、奥尻島にもいる、そんな形でそれぞれが動いているような経営です。

──人事や総務などを集約化するシェアードサービスの方向を打ち出されました。グループ経営は変わるのですか。

横山 まだ正式にスタートラインには立っていませんが、ユニバースとの経営統合前のアークスではすでに認知されています。ユニバースとの経営統合で発足した新アークスとして改めて見直しますが、これからの大きな課題です。

 というより、そもそもシェアードサービスというのはいったい何なのかというところから始める必要があります。大きくなるとグループに遠心力が働くようになる。遠心力で吹き飛ばされるような仕組みでは何にもならないわけで、これをどう乗り越えていくかです。役割分担もあるけれども、共鳴しあうようなフィールドができている、M&A(Merger&Acquisition)ならぬ、「Mind(心)&Agreement(意見の一致)」が重要だと考えています。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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