アパレル業界に迫るサステナブル対応 競合関係のワールドとTSIがコラボをする理由

2022/07/27 05:55
    小内三奈
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    「サステナブル素材」「リメイク品」「衣料品回収キャンペーン」で集客に成功

    大丸京都店1F
    大丸京都店1Fのキャンペーンスペース

     競合関係にある2社で行うことで、百貨店の中の良いスペースをもらえたことも1つの成果だったという。大丸京都店では、正面入り口前のイベントコーナーを提供してもらった。これを生かさない手はないと、余剰在庫を蘇らせる両社のリメイク商品を展示、販売することを決めた。

    ヒューマンウーマン
    TSIヒューマンウーマンのアップサイクル商品

     このリメイク商品は(TSIの商品名はアップサイクル商品)、売れ残った商品を複数ドッキングさせることで、元の1着とは異なるこの世に1つしか存在しない商品へと生まれ変わらせたもの。とくに高価格帯ブランドの商品を組み合わせて新たな商品にする場合は、その高級感から非常に希少な商品としての価値が生まれる。もの珍しさもあってか、客からの反響は上々だった。

     「まだ知名度が低いものの、売場に入ってきたお客さまのほとんどが手に取って見てくださった。リメイク商品の価値観は間違いなく受け入れられるのだという手応えを感じることができた」(フィールズインターナショナル 荒川部長)

     もう一つ、従来から百貨店にとっての集客の柱となっているのが「衣料品回収キャンペーン」だ。ワールド、TSI両社も独自に期間を定めて行っているが、各社とも実施回数を重ねるごとに認知され、持ち込まれる洋服の量も確実に増えているという。

     「ワールドでは衣料品引き取りキャンペーンを2009年から行っているが、ここ45年でお客さまの声は大きく変化し、『大切な服を捨てないで良かった』とサステナブルな意識が高まっている。『廃棄ゼロ』に関しても同様に企業姿勢が問われている」(フィールズインターナショナル 荒川部長)

     「サステナブル素材」、京都店での「リメイク商品」に加えて、百貨店の人気イベントである「衣料品リサイクル」の3つを今回のキャンペーンに組み込み、アパレルメーカー2社と百貨店が企業の枠を超えてサステナブルな取組みを提案することになった。

     予算を検討する際には、「SDGsを打ち出す初の取り組みなので」という前提で控えめに設定していた。ところが、キャンペーン期間に京都と梅田の2店舗で「自分に合う服を買う、無駄なものは買わない」をテーマに骨格診断を絡めて実施したことも功を奏し、前年比200%で着地し、目標としていた前年比130%を大幅に上回る結果を残した。

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