役員刷新で新体制の大戸屋HD、“お手並み拝見”の1年の成果は?
メニュー削減、コスト改革は計画通りに進捗
一方で、メニューの2割削減や店舗オペレーション見直しを通じた、注文から料理ができあがるまでの時間の短縮は計画通り実現している。
また、出店モデルの転換についても、フードコートや温泉ランドへの出店など新業態の展開、内装などの見直しによる出店費用の引き下げ(6~7000万円から5000万円前後に)、「大戸屋おかず処(総菜専門店)」の期間限定出店(京王新宿・小田急ハルク等)などを計画に沿って推進した。
コストの見直しにも取り組んだ。パート・アルバイトのシフトや作業の割り振りなど、労務管理ルールの標準化、コンサルタント費用などムダな経費の削減とコロワイドとの共同購買推進により、収益性改善につなげた。
なお、買収当時にささやかれたセントラルキッチン導入はうわさに過ぎなかったようだ。なんといってもコロワイドグループは全国5カ所のキッチンセンターを核に外食店を展開しており、セントラルキッチン化は根も葉もない話ではなかった。
ただし、今のところその動きはない。蔵人社長も「店内調理こそ大戸屋の強みであり、手をつけるつもりはない」と明言している。
中期経営計画は達成できるか
23年3月期の業績予想は、売上高が対前期比33.6 %増/前期から63億円増加の251億円、当期純利益が同50.1%減/同9億円減の9億円、EBITDAは前期比から21億円増の17億円を見込む。
ちなみに中計最終年度の24年3月期には、売上高は258億円、EBITDAは20億円を目標とする。仮に今期の業績予想どおりにいけば、売上高は過去最高の262億円まであと一息、収益性も過去最高の水準に達することになる。
問題は、中計を本当に達成できるかどうかだ。22年3月期はコロナ禍が長引いたこともあって、売上高・EBITDAは計画未達に終わっている。コロワイドお得意のコストダウン・効率化は進んだものの、目玉としていた男性客の呼び戻しはそれほどうまくいってない。23年3月期も未達で終わるようなら、中計自体の実現性に疑問符が付くかもしれない。