ここ数年、毎年のように食品表示に関する規制が厳しくなっている。食品スーパー(SM)や食品メーカーは適切な食品表示を行う必要があるが、度重なる法令の変更や原価高騰に伴う原料の見直しなどにより食品表示作成の頻度が増え、その負担は重くなりつつある。こうした背景から、複雑な食品表示を短時間で可能にするツールを提供するベンチャー企業も現れている。
食品表示違反の厳罰化が進む
2018年の食品表示法改正により、20年4月からSMを含む食品関連事業者は、より広範囲の原材料のアレルゲン表示が義務づけられた。食物アレルギー症状を引き起こすことが明らかである食品のうち、とくに発症者数が多く重症度が高い食品7品目(えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生〈ピーナッツ〉)が「特定原材料」として定められ、表示が義務化された。また、「特定原材料に準ずるもの」として21品目(アーモンド、アワビ、イカ、イクラ、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン)が可能な限り表示するよう推奨されている。これらの重大な表示不足があった場合には、是正指示なく厳罰(「2年以下の懲役」、または「1億円以下の罰金」〈法人〉、「200万円以下の罰金」〈個人〉)が課される。
21年6月からは、食品の安全性に関する表示基準に従っていない食品(アレルゲンや消費期限などの欠落や誤表示など)の自主回収を行う場合、行政機関への届出が義務づけられた。加えて、その情報は厚生労働省の食品衛生申請等システム内の「公開回収事案検索」を通じて、消費者が自由に検索できるようになった。22年4月からは、輸入品を除くすべての加工食品で、最も多く使用されている原材料の産地表示が義務化された。
「法律関連の文書だけで1200ページ以上あり、法令を遵守した食品表示を作成するには相当な労力が必要だ。書面を確認しながらでは、1商品当たり約4時間要するとも言われ、だからといって類似商品の食品表示をコピーすれば、法令を守れているかどうかわからない」。そう語るのは、食品表示に関するシステム開発関連の事業を展開するベンチャー、Modelor(京都府)の西田陽介社長だ。同社は、複雑な食品表示を、短時間で関係法令に準拠して作成できるクラウドサービス
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