これから定着が予想される催事提案はこれだ! 消費者が支持する日本の食慣習とは
華やかさを演出できる
イベント性ある食習慣
もう1つのカテゴリーである「イベント性のある食習慣」については、海外の文化が日本で独自に進化した3位の「クリスマスケーキ」はその代表例だ。文化の輸入元である海外のクリスマスケーキを見てみると、フランスでは切り株をモチーフにしたブッシュ・ド・ノエル、ドイツではシュトーレン、イタリアではパネトーネなどが定番だ。これに対し、日本ではおそらく多くの方がクリスマスケーキと聞いて想像するのは、生クリームの丸いケーキにイチゴを載せたものだろう。各国のクリスマスケーキの違いについてもそれぞれの国の文化や歴史が反映されているのかもしれない。
7位に入った「バレンタインのチョコレート」も同カテゴリーに該当するだろう。日本では長年女性が大切な男性にチョコレートをプレゼントし想いを伝えるという文化だったが、「義理チョコ」が当たり前になり、昨今では自分用にちょっと豪華なチョコレートを購入する人も増えている。海外のとある国では、バレンタインは男性が女性にお花を贈る日だとか。そのほかにも「ハロウィンのかぼちゃ」や「ボジョレーヌーボーの解禁」など、イベント性のある食の慣習には華やかさがある。
そのほか「十五夜の団子」や「11月29日にお肉」「運動会のいなりずし」などの下位の項目についても今後、より定着していく可能性はあるだろう。
日本に古くから伝わる大切な意味のある食習慣も、(日本では)比較的歴史の浅いイベント性のある食習慣も、食を通じて人々の笑顔あふれるシーンを数多く創出している。そのことが何より素晴らしい。
食文化や食の歴史を大切に伝承するためには、そのライフスタイルに合わせて進化させていくことも重要である。日本の素晴らしい食文化を日本人として大切に受け継ぎたいものだ。現在の感染症拡大が収束し海外との往来が自由になり、世界中の人が日本の食文化に接してもらえる日が一日でも早く訪れることを願ってやまない。
【執筆者】
有木真理(リクルート『ホットペッパーグルメ外食総研』上席研究員)
㈱リクルートライフスタイル沖縄の代表を務めるとともに、ホットペッパーグルメ外食総研の上席研究員として、食のトレンドや食文化の発信により、外食文化の醸成やさらなる外食機会の創出をめざす。自身の年間外食回数は300日以上、ジャンルは立ち飲みから高級店まで多岐にわたる。趣味はトライアスロン。胃腸の強さがウリで、1日5食くらいは平気で食べることができる。
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