業績回復も売上・利益はコロナ前の水準には戻らず……ローソン2022年2月期決算

棚橋 慶次
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成否を握るポートフォリオ戦略

 ローソンは23年2月期業績予想で、営業利益は前期から59億円増の530億円、純利益が同40億円増の220億円をめざす。

 国内コンビニエンスストア事業については今後もコア事業として、店舗改装・厨房導入などの成長投資を持続する。もともと国内コンビニの市場規模は、ここ数年にわたり鈍化傾向が顕著だった。つまり、アフターコロナを迎えても、バラ色の未来が待っているわけではない。成熟したレッドオーシャンで、業界3位のローソンは圧倒的トップのセブン-イレブンに挑み続けざるを得ない。

 体力勝負のカギを握るのが「事業ポートフォリオ戦略」で、成長分野で稼いだ利益をコア事業に投資しようというわけだ。海外事業は、22年度も中国華南地方を軸に出店攻勢を継続し、年度末には6000店舗をめざす。セグメント営業利益目標も26億円と、5億円上積みする。

 成城石井事業も、引き続き慎重に織り込む。22年度は新セントラルキッチンを稼働させ供給体制を強化すると同時に、出店エリア拡大、商品差別化、宅配や店頭受取り強化も推進、営業利益は同16億円増の136億円を目標とする。

 決算発表と期を同じくして、ローソンが成城石井のプライム市場上場方針を固めたと報じられた。時価総額は2000億円に達すると報じたメディアもある。成城石井の成長は今後も期待できるものの、コンビニ事業との相乗効果は限られ、ムリにシナジーを効かせようとすれば、成城石井のブランド価値を毀損しかねない。

 ローソンは長期的に業界再編を視野に入れたM&A(合併・買収)を構想する。これだけの戦略を構想できるのは、三菱商事グループとしての強みともみてとれる。果たしてローソンはセブン-イレブンを追撃できるか、今後が注目される。

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