外飲み需要の縮小続くなか攻勢に出る鳥貴族HD、居酒屋業態の起死回生の一手とは

棚橋 慶次
Pocket

コロナ収束を見据え、新規出店を再開

 上記のような状況に対応してコストコントロールに努めた結果、11〜12月は営業黒字を達成したものの、上期全体(8~1月)では前期よりさらに営業赤字幅を拡大させる結果となった。第2四半期利益概況としては、いわゆる時短協力金(2021年8〜10月分*)の収入(助成金収入31億59百万円)が営業赤字をカバーし、当期利益は黒字転換した格好だ。
*22年1月21日以降のまん延防止等重点措置に対応する協力金については、第3四半期以降に収益認識の見込み

 この特殊な収益構造はコロナ禍の居酒屋チェーンに共通するもので、上場居酒屋チェーン8社が自治体から助成された協力金は計340億円で、実に売上高の4割に相当する。ただし、いつまでも公的支援に依存してはいられない。鳥貴族HDは第3四半期以降、どのような展望を描こうとしているのか。
 下期の取り組みとして、鳥貴族HDは新規出店の再開や春メニューの提供、新規事業の強化など、コロナ収束に伴う営業時間正常化を見据えた反転攻勢に打って出る。

 まずチャネル戦略では、19年7月以来となる直営店の新規出店を再開する。4月には「日比谷店」(東京都千代田区)、5月には「学園都市店」(兵庫県神戸市)がオープン予定だ。さらに来期からは未進出エリアへの出店を計画中で、まずは現地調査や物件開発を加速する。同HDの現在の進出エリアは関東・東海・関西地方に限られており、まだまだ伸びしろは大きい。

 春メニューの提供では、「クリームソーダ酎ハイ」といったアルコールを控えめにしたドリンク、「さくら明太マヨうどん」や「スイートポテトパフェ」など、見た目や食べ方にこだわった鳥貴族ならではの新メニューを投入する。

 「TORIKI BURGER」事業にも新展開がある。3月10日には2号店となる「渋谷井の頭通り店」(東京都渋谷区)をオープン。同時に記念グッズの配布や試食などのプロモーションも展開した。メニュー面でも期間限定商品や、宇治茶葉を使用した2種類(ほうじ茶・抹茶)のラテ、3種のチキンバーガーを楽しめるセットメニューなどを投入する。

1 2 3

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態