台頭するESGアクティビストが、ESG投資をこう変える!小売業はどう取り組むべきか?

松岡 由希子 (フリーランスライター)
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E(環境)、S(社会)、G(企業統治)の要素を考慮し、環境対策や社会的課題の解決に取り組む企業に投資する「ESG投資」は、2030年までのSDGs(持続可能な開発目標)の達成を資金面でサポートするファイナンス手法として注目を集めてきた。コロナ禍に伴う景気低迷が広がる中、ESGをめぐる取り組みはどう変化したのか。専門家にESG関連の最新動向を聞いた。

市場拡大する一方で資金流入ペースは鈍化?

 欧州・米国・日本・カナダ・豪州・ニュージーランドでのESG投資の状況をまとめたGSIA(世界持続可能投資連合)の20年度報告書によると、ESG投資の市場規模は16年時点の22兆8390億ドルから18年には対16年比34.3%増の30兆6830億ドルに拡大。20年には、対18年比15.0%増と増加幅が小さくなったものの、35兆3010億ドルの規模に達している。

 欧州でのESG投資の市場規模は18年時点の14兆750億ドルから20年に12兆170億ドルへと減少している。欧州連合(EU)では、20年6月、企業活動の環境面での持続可能性を判断する分類基準「EUタクソノミー」が制定されるなど、ESG投資の透明性を高めるための法整備がすすめられてきた。三井物産戦略研究所産業情報部産業調査第一室主任研究員の大西勝氏は「ESG投資の仕組みづくりが先行する欧州では、『ESG投資』の定義がより厳格になり、統計上の(ESG投資への)資金流入は減っている」と解説する。

 一方、米国では、18年時点の11兆9950億ドルから20年には対18年比42%増の17兆810億ドルに増加した。年金基金の運用者に「資金拠出者の利益の最大化のために行動する」との受託者責任を課す連邦法「ERISA(従業員退職所得保障法)」では、トランプ前政権が「経済的利益のみを考慮すべき」と定めていたが、民主党への政権交代に伴って「気候変動対策などのESG要素もファイナンス上、重要な要素になりうる」と方針を転換させた。大西氏は「企業年金を長期で運用する米国の大手機関投資家にとっては、ESG投資によりコミットしやすい状況になっている」とみる。

 コロナ禍がESG投資に及ぼした影響について、大西氏は「コロナ禍は直接的な要因になっていない」としながらも、「コロナ禍による景気低迷に伴って金融緩和政策がとられ、市場に過剰流動性がもたらされたことで、グリーン債などへの資金流入も活発になった」と振り返る。

台頭する「ESGアクティビスト」

水素ステーション
近年、環境対策や社会的課題の解決を訴え、公益を害する経済活動を行う企業に変革を強く迫り、株価の上昇をめざす「ESGアクティビスト」が台頭している

 欧州や米国

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記事執筆者

松岡 由希子 / フリーランスライター

米国MBA 取得後、スタートアップの支援や経営戦略の立案などの実務経験を経て、2008年、ジャーナリストに転身。食を取り巻く技術革新や次世代ビジネスの動向をグローバルな視点で追う。

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