第7回 店のスタッフ、医師、管理栄養士…「専門家の声」で購買の後押しをする方法とは

2022/01/28 07:00
    倉林 武也
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    日本酒好きなショッパーのインサイトと〈釣り〉をつないだ展開

     皆さんは日本酒の売場を思い浮かべる時に、どのようなイメージや売り方が頭に浮かぶだろうか?

     他のアルコール飲料に比べて情報(商品の種類・カテゴリーなどのサインくらい)は少なく、年間を通じて売場の変化も乏しい。そう考える人も少なくないだろう。以前スーパーマーケットの酒売場のバイヤーにこうした話をしたところ「日本酒は銘柄の指名買いが多く、販促や情報訴求をしても効果が期待できない」という回答があった。確かに日本酒は他の商材に比べて、ブランドスイッチがし難く、立ち寄り時間や立ち寄り率は高くないと言った事実がある。

     そうしたなか、菊正宗酒造が2021年8月~10月に「釣り自慢」を対象にした「釣り人自慢の魚料理 Twitterフォトコンテスト」を実施して話題を集めた。この企画、幅広い層における釣り人気の高まりを捉えて、日本酒と相性の良い“魚料理”を軸としたもので、「釣った魚で作った料理と菊正宗のお酒が一緒に写った写真に、指定のハッシュタグ#サカナのサカナとキクマサを付けて応募するフォトコンテスト」と言った内容だった。当時同社のウェブサイトを見ると、魚料理を通じて菊正宗をより身近に感じて欲しいことや、コロナ禍による外出自粛などの閉塞感から抜け出して、自然の中で密を避けながら楽しめる“釣り”をきっかけに、少しでもお客さまにリフレッシュをして頂きたいとの意図も記載されていた。

     酒の肴として“魚料理”を捉える事は長年酒造メーカーが取り組んでいたことだが、釣り人気やコロナ禍におけるショッパーのインサイトから「自分が釣った魚で作った料理」を日本酒の販促の着火点につないだ点が、この企画の効果を高めたポイントと言える。

     ショッパーのインサイトには時代の空気や潮流と言うものが影響して、それを楽しさや明るい方へと導く仕組みは企画を成功させる上で重要なことが分かる。

     この企画を図1の内容(フレームワーク)に書き込んでみた。インサイトを掘り下げて行こうとする際の流れやモノの捉え方のヒントになればと思う。

    図2

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