医療と薬局の間に商機見出す調剤薬局最大手アインHDが描く医薬分業の理想のカタチ

油浅 健一
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人材確保・店舗拡大も抜かりなく「新たな薬局」へ着々

 ここ2年の同社の新卒薬剤師採用ペースは年間600人前後(20年560人、21年613人)で、22年4月も600人を計画している。19年までの採用人数は300名に満たず、従来の倍近いペースで採用を行っていることになる。

 カギとなる人材育成も、高度薬学管理機能に関わる勉強会を開催するほか、がん患者への緩和ケア、外来がん化学療法、HIV治療薬とAIDSをテーマにシリーズとして各店舗にWEB接続した勉強会を実施するなど、「認定薬局」として地域の医療のサポートを担う人材育成の体制を整える。なお同社は25年までに全薬局店舗にかかりつけ薬剤師を配置したい考えだ。

 さらに調剤店舗のマネジメント専属社員も100人配置するなど、より専門性ときめ細かい接客が求められることを見越し、厚みのある人員構成で単調な接客からの脱皮を図る。

 店舗拡大の手も緩めない。2022年4月期はM&Aも交えながら調剤薬局を80店舗増やす計画だ。併せてドラッグストアも15店舗増やし、薬局に求められるニーズを手堅くすくいあげる。

 スケールメリットを得るための拡大戦略はしたたかに継続しつつ、質の強化を図ることで独自のポジションを確保。消耗戦と化したここ数年の“陣取り合戦”にピリオドを打つとともに、医療と薬局の中間の位置にすっぽり収まることで、同社は薬局の新たな役割を担うリーディングカンパニーへと進化を遂げる。

編集部注:調剤薬局および薬剤師は2007年の改正医療法により、公式に「医療提供施設」そして「医療提供者」と位置付けられたものの、一般的な認知は進んでおらず、あるいは狭義の意味でもその枠に入っていない点が業界の大きな課題となっている。

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