日本酒類販売が2015年3月期決算を発表
酒類卸大手の日本酒類販売(東京都/松川隆志社長)は、6月30日、2015年3月期決算を発表した。
連結(子会社15社、持分法適用会社2社)の売上高は5031億7500万円(対前期比0.6%減)。営業利益は29億5800万円(同2.7%減)、経常利益は34億9900万円(同4.3%減)、当期純利益は22億1900万円(同4.4%減)の減収減益。消費税増税の仮需の影響が大きかった。
この間、5月には、ワインの充填加工を主事業とする株式会社NEWSを新設。第1弾として、チリ産ワインを原料とするバックインボックス「VIAJERO/ヴィアヘロ(旅人)」をオリジナル商品として発売した。
また、6月には宝永エコナが一般労働者派遣事業の認可を受け、店頭陳列作業などに当たる人材派遣業務をスタートさせた。
一方、単体の売上高は4795億7600万円(同0.5%減)、営業利益22億1800万円(同20.8%減)、経常利益26億1600万円(同18.7%減)、当期純利益15億7200万円(同20.2%減)だった。
「消費税増税による仮需の影響で4月から9月はずっと対前年度を下回った。しかし、その後、新規取引先の増加や新規事業が寄与して挽回することができた」と振り返るのは松川社長だ。
品種別と業態別の売上高は以下の通り。
【品種別】
●和酒
清酒 318億1700万円(対前期比1.0%増:構成比6.6%)
連続式蒸留(甲)265億1900万円(同4.0%減:同5.5%)
単式蒸留(乙) 941億9000万円(同4.2%減:19.6%)
●洋酒(ビール系除く)
国産洋酒 506億2200万円(同16.0%増:同10.6%)
輸入洋酒 360億6400万円(同6.2%増:同7.5%)
●ビール系
麦酒 1030億8000万円(同0.7%増:同21.5%)
発泡酒 163億1100万円(同16.0%増:同3.4%)
新ジャンル 400億4100万円(同7.8%減:同8.3%)
●食品 548億4700万円(同11.9%減:同11.4%)
NHK朝の連続テレビ小説『マッサン』のヒットによる効果もあり、とくに国産プレミアムウィスキーが大幅な伸びを示した。また、業界全体のトレンドとして、新ジャンルは凋落傾向にある。食品は、全国系小売業のメーカー直接取引による影響を大きく受けた。
【業態別】
●酒販店
一般用 127億6700万円(対前期比16.7%減:構成比2.7%)
業務用 895億7200万円(同4.5%増:同18.7%)
●二次卸 1115億700万円(同5.6%減、同23.3%)
●組織小売業
コンビニエンスストア 413億6300万円(同7.8%減、同8.6%)
スーパー 1044億8800万円(同4.6%増、同21.8%)
ディスカウントストア 422億1500万円(同4.2%減、同8.8%)
ホームセンター 138億3400万円(同8.4%減、同2.9%)
ドラッグストア 268億400万円(同8.2%増、同5.6%)
スーパーとドラッグストアには、とくに力を入れており、CGCグループ(東京都/堀内淳弘代表)の全国指定卸にひとつに選ばれた効果も貢献した。また、酒類売場は小さいものの、伸び率の大きいドラッグストアには、なお期待する。
「2014年度は、今一つだったが、ここにきて市場は回復傾向を見せている。ただ、市場は少子高齢化により、少しずつ縮小していくから楽観視はできない。粗利益を増加させることは難しいので、販売管理費を削ることで厳しい中間流通業務ではあるが全うしたい。従来と同じでは中間流通は生き残れないので、さまざまな提案をしていきたい」と松川社長は語った。
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