残るは看板だけ……大阪・茨木、あの有名チェーンの創業地を訪ねる
セブン-イレブン、業務スーパー、マクドナルド──。街を歩くと目に入ってくるのがチェーンストアの看板だ。店舗数は数百、数千、なかには数万におよぶブランドもある。しかし規模に関係なく存在するのが「1号店」で、それを起点に後の躍進があるのは言うまでもない。今回は大阪府茨木市に残る、某チェーンの創業店「跡」を訪れるという話である。
看板だけが残っている?
阪急電鉄京都線の「茨木市」駅前──。「socio(ソシオ)」という古びた商業ビルの地階に今回の目的地がある。それは「なか卯」の創業店だ。
あらためてなか卯について紹介すると、親子丼、うどんなどのメニューが人気の飲食チェーン。同社サイトによれば、店舗数は462(2022年3月末現在)に上る。沿革には「1969年10月第1号店『なか卯茨木店』(手作りうどん店)を大阪府茨木市に出店」と記載されている。
冒頭、創業店と書いたが、残念なことに2005年、閉店している。しかし検索を続けるうち、その「跡」は確認できると知った。
なか卯の公式X(旧Twitter)も2022年6月12日、「看板だけは今なお残っているので是非 #なか卯 の1号店跡地を見に行ってみてくださいね」(原文ママ)と発信している。
看板だけがある、というのはどういうことなのか想像がつかなかった。しかし、それがかえって「現地に行ってみたい」という気持ちを刺激した。ネットで調べて「茨木市」駅前のビルを突き止め、実際に足を運んだ。
現地に着き、まずは施設の外周を一通り歩いて全体を把握した後、階段で「地下飲食街」に向かう。その途中、テナント一覧とマップがあり、立ち止まって探したが確認できなかった。
施設は通りを挟んで東西の館に分かれており、構造がわかりにくい。それでも通路を歩くうち、ふと上方に視線をやると、入居店を紹介するパネルを発見。おそらく昔はバックライトにより明るく点灯していたのだろう。
「ご家族みんなで楽しいお食事を」とのキャッチコピーが書かれたデザインからは、ずいぶん前に作られたものと推測できた。私は、店名をひとつひとつ目で追った。すると「手打うどん なか卯」の文字を見つけた。やった!
さらに施設内を探索すると、シャッターが閉まったままの、ある物件が目に止まる。天井からぶら下がる表示物にも、しっかりと「うどん なか卯 牛丼」と記されていた。
ここを起点に、その後、全国へ店舗網を広げたのかと考えると胸が熱くなった。
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