観光地のど真ん中! 京都・祇園の一等地で食べる、リーズナブルながら本格的な親子丼
安さの秘密を料理人自ら情報発信
店内は小ぢんまりとしており、カウンター6席、そして4人掛けテーブルが2つあるだけである。知人と一緒だったため、テーブル席に座った。
この店、昼食時に提供している料理は親子丼のみと潔い。何より目を引くのは、価格が税込800円であること。少し前は750円だったが、物価高騰を受け、値上げした模様。それでも祇園の一等地にあるにもかかわらず、非常にリーズナブルな価格設定に好感が持てる。

私は厨房の方に向き、中腰で「2つお願いします」と伝えた。
店を切り盛りしているのは、カウンターに隣接する厨房に立つ凛々しい感じの男性料理人。表に「No photos」と書いてあったため、入る際に事情を説明、「写真撮影してもいいですか」と尋ねた。すると視線を手元に向けたままでコクリと小さく頷き、OKしてくれた。なんかうれしかったね。

さて7〜8分が経過、私の目の前に置かれたのがこれ。主役の親子丼、そしてお漬物と赤だし。いい感じである。
お茶で喉を潤し、さっそく親子丼をいただく。箸で適量を持ち上げ、口へ。うん、おいしい。続けてもう一口、やはりよいな。赤だしを少し含んで小休止、そして親子丼を再開した。



アクセントをつけるため、テーブルにあった山椒をかけた。七味も置かれていたが、やはりここは山椒でしょう。うまくて箸が加速、途中、漬物も挟みつつどんどん食べた。ふぅ、ごちそうさまでした。
なお安さの秘密だが、この料理人が書いたエッセイが公式Webサイトに掲載されている。「とり新」「丼と私」で検索すると1ページ目に出てくる。
「人件費が、かからんからですわ。鶏つぶして、ご飯炊いて、お茶沸かすまで、私一人でっさかいに」とある。またメニューを絞っている点も大きいと想像できる。
ほかにも「とり新」「名代」「親子丼」で検索すると出てくるページには、使っている鶏肉や卵、米は本店の「鳥新」で出しているのと同じとある。鶏は京都近郊で肥育されたもの、米は「福井・敦賀産の、少し粒が小さめ、炊き立てのコシヒカリ」などと書かれている。
京都弁の語り口もあり、楽しく読ませてもらった。難関の「京都検定1級」をお持ちとのことで、なかなかの勉強家と見られる。
やはりネットが浸透する時代、情報を発信するというのは重要である。いろいろ知った上で店に行くと、食事の楽しさも倍増する。これはどの店もお手本にすべきと思った。
お腹もいっぱいになり、満足した。よい店だったなと思い、私は店を後にした。
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