観光地のど真ん中! 京都・祇園の一等地で食べる、リーズナブルながら本格的な親子丼

2023/11/10 05:57
森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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安さの秘密を料理人自ら情報発信

 店内は小ぢんまりとしており、カウンター6席、そして4人掛けテーブルが2つあるだけである。知人と一緒だったため、テーブル席に座った。

 この店、昼食時に提供している料理は親子丼のみと潔い。何より目を引くのは、価格が税込800円であること。少し前は750円だったが、物価高騰を受け、値上げした模様。それでも祇園の一等地にあるにもかかわらず、非常にリーズナブルな価格設定に好感が持てる。

昼食時に提供している料理は親子丼のみ。価格は税込800円で、祇園の一等地にあることを考えると非常にリーズナブルだ

 私は厨房の方に向き、中腰で「2つお願いします」と伝えた。

 店を切り盛りしているのは、カウンターに隣接する厨房に立つ凛々しい感じの男性料理人。表に「No photos」と書いてあったため、入る際に事情を説明、「写真撮影してもいいですか」と尋ねた。すると視線を手元に向けたままでコクリと小さく頷き、OKしてくれた。なんかうれしかったね。

私の目の前に置かれた親子丼。お漬物と赤だしもついている

 さて7〜8分が経過、私の目の前に置かれたのがこれ。主役の親子丼、そしてお漬物と赤だし。いい感じである。

 お茶で喉を潤し、さっそく親子丼をいただく。箸で適量を持ち上げ、口へ。うん、おいしい。続けてもう一口、やはりよいな。赤だしを少し含んで小休止、そして親子丼を再開した。

箸で適量を持ち上げ、口へ。うん、おいしい
次に生卵をなじませ食べた
テーブルにあった山椒をかけるとまたサイコーである

 アクセントをつけるため、テーブルにあった山椒をかけた。七味も置かれていたが、やはりここは山椒でしょう。うまくて箸が加速、途中、漬物も挟みつつどんどん食べた。ふぅ、ごちそうさまでした。

 なお安さの秘密だが、この料理人が書いたエッセイが公式Webサイトに掲載されている。「とり新」「丼と私」で検索すると1ページ目に出てくる。

 「人件費が、かからんからですわ。鶏つぶして、ご飯炊いて、お茶沸かすまで、私一人でっさかいに」とある。またメニューを絞っている点も大きいと想像できる。

 ほかにも「とり新」「名代」「親子丼」で検索すると出てくるページには、使っている鶏肉や卵、米は本店の「鳥新」で出しているのと同じとある。鶏は京都近郊で肥育されたもの、米は「福井・敦賀産の、少し粒が小さめ、炊き立てのコシヒカリ」などと書かれている。

 京都弁の語り口もあり、楽しく読ませてもらった。難関の「京都検定1級」をお持ちとのことで、なかなかの勉強家と見られる。

 やはりネットが浸透する時代、情報を発信するというのは重要である。いろいろ知った上で店に行くと、食事の楽しさも倍増する。これはどの店もお手本にすべきと思った。

 お腹もいっぱいになり、満足した。よい店だったなと思い、私は店を後にした。

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記事執筆者

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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