京都のお茶漬けの名店を探訪! 京都人の「ぶぶ漬けどうどす」は現在も生きているのか?
女性店員に聞き、食べ方の方針を決める
通されたのは、古い丸テーブルの周りに座布団が敷かれた席。店内は和風で、あちらこちらに民芸品と思われる置物や絵が飾られている。壁には掛け軸、落ち着いた雰囲気がよいな。

周囲を見回すと、家族連れ、カップルと思われるお客も少なくないが、総じて女性の比率が高い。どのテーブルも、静かに会話しているのが印象的である。
待つこと約15分。私の前に料理が置かれた。素材や料理の色に加えて食器にもこだわっているようで、華やかな感じがする。一気に食欲が増した。

運んできてくれた女性店員に食べ方を質問すると、「とくに決まりはありません」とのこと。いろいろと聞いた結果、最初はお茶をかけずに食べ進め、最後、お茶漬けで〆る方針で攻めることにした。
おひつに入っているごはんを茶碗によそったら準備が完了。まずは「出し巻き」である。箸で大きめに切り分け、そのまま口へ。最高だ。風味がしっかりと感じられ、かなりのおいしさ。これだけで、ごはん一杯は軽くいけそうだ。

はやる気持ちを抑えて次は「季節一品物」。揚げて甘辛く味付けした鱧(はも)のほか、おくら、にんじん、ミニトマトなどが、とろみのあるだしと和えてある。彩りは抜群、もちろんうまい。時々、赤だしで口を整え、もう一度、だし巻き。あれこれ食べている間にご飯が少なくなってきた。

いよいよメインディッシュの時間だ。
きゅうり、なす、ごぼうなどの漬物をご飯の上に丁寧に並べ、ゆっくりと急須でお茶を回しかける。そして、一気にさらさらと流し込む。漬物は、浅漬けであるのもうれしい。あぁ、幸せとはこういうことを言うのだろうな。

そうそう、肝心の、京都人をお茶漬けに誘ったらどうなるかの話である。たぶん声をかけられた京都人は、思わぬ攻撃に一瞬ひるむだろう。しかし、あなたとの関係が基本的に良好であれば受け入れられ、さらに食事を共にすれば関係が深まるはずだ。
ただし家に行った時、「ぶぶ漬けどうですか」と勧められた時に誘うと逆効果。相手は帰ってほしいと考えている時だからだ。そこは日をあらためる方がいいだろう。やはり何事もタイミングが重要だと思う。
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