テスコ(英)の日本市場撤退が決まりましたが、ウォルマート(米)傘下の西友の話題です

2011/09/01 06:34
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 2002年にウォルマート傘下に入った西友(東京都/スティーブ・デイカスCEO〈最高経営責任者〉)の既存店舗改装は最終段階を迎え、いよいよ次のステップである拡大戦略に乗り出す。

 

 西友の拡大の方向は4つある。

 

 ひとつは店舗数の拡大だ。食品スーパーを当座のドメイン(戦略的事業領域)に据え、出店を再開、加速させていく。

 

 2つめはM&A(合併・買収)だ。「山陽マルナカ(岡山県/中山明憲社長)買収」の噂が流れたように西友に持ち込まれているM&Aの案件は少なくない。

 それだけに西友は高い興味を示しており、実際に積極的に動いている。

 M&Aの対象として考えられるのは財務状況が健全でしっかりマネジメントされてきている企業だ。「(M&Aは)箱(=店舗)だけではなく、そこで働く人材にも注目している。日本国内の事業だけでなく、ウォルマートのグローバルビジネスを担ってもらえるような優秀な人材を発掘できるかもしれないからだ」(スティーブCEO)。

 

 3つめは食品事業の拡大だ。グループ企業の若菜(埼玉県/難波愼治社長)が好調であることから、この事業をさらに伸ばしていくという。

 現在、若菜は、総合惣菜ショップ「若菜」をベースに、西友店舗内の専門ショップ、地域密着型の路面店の展開が加わり、販売拠点は全国410店舗(2010年12月現在)に上る。

 自社工場を拠点に、日本列島を北海道から九州まで7エリアに分け、その土地ならではの食文化や習慣、味覚や食材に配慮したメニューの開発も進めている。

 

 そして4つめはオンラインビジネスである。10年前に他社に先駆けてネットスーパーに参入したが、これまでは他社の後塵を拝していた。

 そこで強化方針を表明し、2011年末までには125店舗に、2013年末までには350店舗までに拡大し、次の5年間でネットスーパー会員数を2011年1月対比の10倍増、売上高で同20倍増にする。ネットスーパー事業は西友のアカウントでは黒字事業だという。

 9月29日には長野県長野市の3店舗でもネットスーパーをスタートさせる。

 

 以上のような4つの方向性の拡大戦略を推進することで規模の論理を駆使し、EDLP(エブリデー・ロー・プライス)政策の深耕を図る。

 

 この数年の西友の躍進ぶりには目を見張るものがあるが、スティーブCEOは自戒を忘れない。

 「人間も事業も満足してしまった時点で成長が止まる。だから一切満足することなく、拡大戦略に当たっていきたい」。

 

 『チェーンストアエイジ』誌2011年10月1日号では西友のスティーブ・デイカスCEOのインタビューを掲載いたします。お楽しみに。

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