みんな満30歳
ヘッドフォン・ステレオの「ウォークマン」(ソニー製、3万3000円)、パソコン PC-8001(日本電気製、16万8000円)、日本語ワードプロセッサJW-10(東芝製、630万円)には共通点がある(金額は発売当時のもの)。
どれもが1979年生まれで現在満30歳ということだ。
「ウォークマン」はこの30年間で、超小型化→コンパクトディスク対応→ミニディスク対応→ハードディスク内蔵と進化を重ねて、デジタル化を図ってきた。
日本電気のパソコンはフロッピーディスクさえついていなかった。しかし、現在、17万円近くを払うなら、最上級仕様のモデルを購入することができる。「価格.com」によれば、「NECVALUESTAR L VL750/WG PC-VL750WG」(画面サイズ:23インチ CPU種類:Core i7 860 メモリー容量:4GB HDD容量:1TB OS:Windows 7 Home Premium)が18万5410円(2月7日)だ。
日本初のワープロの価格は630万円。単語4万語、固有名詞8000語を記憶し、前後関係を判断して漢字まじりの文章に変換ができたが、もはやワープロという言葉自体が死語になっている。
たった30年間で技術革新が重ねられ、考えられないようなスピードでデジタル化が進んできたことが分かる。
流通業界の1979年を振り返ると、ニチイがビブレ1号店を開業。いづみやがイズミヤに社名変更。ダイエーがビッグ・エー、アシーネを設立。西友ストアーが米国食品スーパーのジュエルと業務提携。セブン―イレブン・ジャパンが東京証券取引所第2部上場。CGCがグループ全体の売上高1兆円を突破、さえき創業などの出来事があった。商業統計調査によれば、セルフサービス店は1万8847店舗――。
商業の世界は、一部にIT(情報技術)が入ってきているもののいまだに、アナログな世界が大半である。
そして30年の歴史を振り返って分かるのは、デジタルな世界にもアナログな世界にも優勝劣敗の厳しい掟があるということだ。消費者に支持されない商品や企業は淘汰されたことを改めて実感させられる。
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