山崎孝明江東区区長の素晴らしい挨拶(@メトロ辰巳店)
新店開店式典の来賓で招かれる首長の挨拶ほど面白くないものはない。
ところが、昨日、メトロ キャッシュ アンド キャリー ジャパン(東京都/石田隆嗣社長)の第8号店「メトロ辰巳店」のオープニングセレモニーで話した山崎孝明江東区区長のスピーチは抜群に面白く、為になったので以下に記しておきたい。
メトロ辰巳店のオープンを歓迎する。辰巳は江東区の中では、発展が若干遅れている地域。けれども、江東区は全国市区町村の中でも毎年人口が1万人ずつ増えている全国に例のない活気のある町だ。
この辰巳に限っていうと、物流の拠点としてはとても好い立地である。江東区には高速道路の出入り口が10か所あり、東西南北、どこへでも簡単に移動できる。
羽田空港と成田空港の中間点であり、すぐそばには日本最大の港、東京港がある。
おそらくそうしたところに、メトロが目を付け、しっかりと検討して、この地に決めたのだろう。
ぜひ、この地を活用してもらって、事業発展につなげてほしい。また、そのことが江東区の発展にもつながる。
4階建て(売場は1500㎡×2フロア、3・4階は駐車場)の建物での出店は初めてだと聞いている。①新鮮品質力、②品揃え力、③節約力、④サポート力を謳い、この店一か所ですべての仕入れができる。そんな発想は私の中にはいままでなかった。
実は、私は20年ほど前に日本そば屋の店主だった。自分で製造して販売して経営をしていた。古い私の感覚だと「仕入れとは運んでもらうもの」という意識だ。
そば粉、醤油、えび、ねぎ、制服、洗剤…と業者が配達してくれたものをそのまま買い取る。だから儲けがなかった。それで私の店はつぶれてしまった(笑)。
しかし、このような「店内をひと回りすれば仕入れは完了」というような店ができれば、自分で必要に応じて、原価予算に応じて、選べる。すべてここで揃うということは店舗経営する立場からすれば便利だなと実感する。
石田社長から事前の説明会でいろいろな資料をもらったが、真剣に読んだのはマンガ冊子『料理人シュンの 仕入れ100%活用術』。あの本を読んで、この店のことがすべて分かった。
飲食店を経営する多くの人々にとって非常にいい店舗であると思う。
辰巳のそばには、銀座、日本橋、赤坂、汐留もある。また深川、亀戸といった江戸時代からの古い町、南には豊洲という新しい町がある。ディズニーランドもすぐそこ、東京スカイツリーもまもなくできる。
辰巳店がメトロの首都圏における拠点になることを祈念する。(了)
短時間にしてメトロが何であるかを説明して、笑いを取り、首長らしくちゃっかりご当地の宣伝も織り込んでいる。挨拶は難しいものだが、近年まれにみる完璧なものだったと思う。拍手!
(2009年10月24日、2010年9月20日のブログもぜひお読みください)
千田直哉の続・気づきのヒント の新着記事
-
2024/09/02
魅力的な売場…抽象的な誉め言葉の意味を明確化するために必要なこととは -
2024/08/02
日本酒類販売社長が語る、2023年の酒類食品流通業界振り返り -
2024/07/03
「何にでも感激する経営者」の会社が業績が良い“意外な”理由 -
2024/06/07
経費率16%なのに?ローコスト経営企業が敗れ去るカラクリとは -
2024/05/23
キットカットをナンバーワンにしたマーケター「アイデアより大事なこと」とは -
2024/04/15
スーパーマーケット業界のゲームチェンジャー、オーケー創業者・飯田勧氏の経営哲学とは