『100,000年後の安全』
『100,000年後の安全』(マイケル・マドセン監督)という映画が注目を集めている。
原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場“オンカロ(隠された場所)”に、世界で初めてカメラが潜入したドキュメンタリー作品だ。
高レベル放射性廃棄物は安全な状態になるまで、10万年間かかると言われている。
実際にさまざまな放射性物質の半減期(放射能の強さがもとの半分になる期間)を見てみると…。
ラドン220(55.6秒)、ラドン222(3.8日)、ニオプ95(35日)、ストロンチウム90(29年)、セシウム137(30年)、アメリシウム241(430年)、炭素14(5715年)、アメリシウム243(7400年)、プルトニウム239(2.4万年)、ウラン233(16万年)、テクネチウム99(21万年)、ジルコニウム93(153万年)、ネプツニウム237(214万年)、ヨウ素129(1570万年)、カリウム40(約13億年)、ウラン238(約45億年)といった具合だ。
“オンカロ”を建設中なのはフィンランドの都市オルキルオト。固い岩盤を掘削し地下500mに都市のような巨大な施設をつくり、自国の原発から出る放射性廃棄物の最終処分場にする。
この映画では、安全になるまで10万年を要するという高レベル放射性廃棄物を10万年間も安全に人類が管理し末裔に警告し続けられるのかという問題をフィンランドの最終処分場の当事者たちに投げかけている。
安全になるまで10万年――。
では、10万年前はどんな時代だったのだろう。
アフリカに出現したホモサピエンスが世界各国に広がったころのことである。
人類の祖先とされるクロマニョン人の登場は約5万年前、ラスコーやアルタミラの壁画が約1万5000年前、エジプト文明やメソポタミア文明が現出したのは約5000年前である。
10万年は、地球の歴史46億年との比較では一瞬に過ぎないが、人類史として見れば、長く果てしない。
もう10万年後には、人類は地球の住民ではないかもしれない。いまの言語はまったく通じないかもしれない。
この問題を本当にどう対処するのか?
考えさせられることは果てしなく多い。
千田直哉の続・気づきのヒント の新着記事
-
2024/09/02
魅力的な売場…抽象的な誉め言葉の意味を明確化するために必要なこととは -
2024/08/02
日本酒類販売社長が語る、2023年の酒類食品流通業界振り返り -
2024/07/03
「何にでも感激する経営者」の会社が業績が良い“意外な”理由 -
2024/06/07
経費率16%なのに?ローコスト経営企業が敗れ去るカラクリとは -
2024/05/23
キットカットをナンバーワンにしたマーケター「アイデアより大事なこと」とは -
2024/04/15
スーパーマーケット業界のゲームチェンジャー、オーケー創業者・飯田勧氏の経営哲学とは