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焦点:「V字かU字か」、米経済は深刻な悪化不可避で回復軌道が論点に

ニューヨークの街を歩く人
「V字、U字、L字のどれになるのか」――。米経済を巡るエコノミストの論点は最近、景気回復軌道に移ってきた面が見られる。新型コロナウイルス感染拡大を懸念する市場の動きから、深刻な経済の悪化は自明の理になったからだ。写真はニューヨークで11日撮影(2020年 ロイター/Andrew Kelly)

[11日 ロイター] – 「V字、U字、L字のどれになるのか」――。米経済を巡るエコノミストの論点は最近、景気回復軌道に移ってきた面が見られる。新型コロナウイルス感染拡大を懸念する市場の動きから、深刻な経済の悪化は自明の理になったからだ。

BMOキャピタル・マーケッツの債券ストラテジスト、ダン・クリーター氏とダン・ベルトン氏は先週のノートに、今年の基本的なシナリオは景気後退(リセッション)と記した上で、もはやそれは議論の対象ではなく、むしろ真の疑問はどのような形の景気回復を市場が想定できるかであるように思われると指摘した。

クリーター氏は11日、「米景気には相当なブレーキがかかる」と改めて強調した。

多くのエコノミストは今なお、米国はリセッションを回避できるかもしれないとの期待を捨てていないが、新型ウイルスの経済下押しが長期化し、回復が遅れるだろうと認めている。

バンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズの米国経済責任者ミッシェル・マイヤー氏によると、以前には一部で楽観的なV字回復、つまりサプライチェーンの一時的混乱を経ても、すぐに米経済が立ち直るという展開を見込む向きがあった。しかし新型ウイルスが中国国外にこれほど広がっている現状を踏まえれば、そうした見通しの現実味は薄れているという。

マイヤー氏は「われわれが想定するのは縦長のU字型の回復で、景気の底はかなり深く、リセッションに迫る」と話す。これは新型ウイルスのために消費が打撃を受け、企業投資は先送りとなり、経済活動全般が抑制されるという前提に基づいている。

世界各地では、感染者の隔離や各種イベント中止、移動制限などで普段の生活がほとんどできなくなっている都市も出てきた。米ニューヨーク州のクオモ知事は10日、感染者が多いニューロシェルを「封じ込め地域」に指定。イタリアでは政府が全土で店舗などの閉鎖を行うと表明した。

これらの措置によるマイナスの影響は尾を引き、経済が完全に持ち直すまでしばらく時間がかかる、とみるのはオックスフォード・エコノミクスのチーフ米国金融エコノミスト、Kathy Bostijancic氏で、やはり米経済が全面的なリセッションにはならないものの、U字型の回復経路をたどると予想する。

同氏は、一部の労働者がレイオフされるか、自宅待機期間が延びるだろうから、消費者信頼感と支出が痛手を受ける恐れがあると分析。「これは単に米国だけでなく、世界全体へのショックで、われわれがかつて見たことがない事態だ」と述べた。

バンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズのマイヤー氏は、新型ウイルス感染がさらに拡大してもっと大規模な封鎖が必要になるというより悲観的なシナリオなら、米経済が沈滞する期間が長くなり、回復時期も遅れるL字型の様相を帯びてくる可能性があるとの見方を示した。

ただマイヤー氏は「経済活動の混乱がより恒常化してくるので、回復にはある程度時間がかかるだろう。それでもこれは最終的に乗り切れるショックだと思う」と語り、深刻なリセッションは免れることができると主張している。