ネスレ日本代表取締役副社長 高岡浩三
デフレマーケットに付加価値商品を提案し続ける!

2010/02/18 00:00
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──「ネスカフェ バリスタ」はどこの売場で販売するのですか。

 

高岡 基本的にインスタントコーヒーと同じ食品売場です。従来のカテゴリーで言えば、家電製品売場になるのでしょうが、食品の売上として計上されるため、きっと 売場では喜んでいただけるはずです。これまで当社のインスタントコーヒーを積極的に販売いただいたSM企業などへご恩返しができればと考えております。

 

──このほかにも、コーヒーについては、新たな戦略を打ち出しています。

 

高岡 「ネスカフェ エクセラ」のラベルデザインを変え、新たな戦略を打っていきます。キーになるのは「ポリフェノール」で、これを前面に押し出した展開を考えています。ここ 数年、お客さまの健康志向は強まり、その中でポリフェノールは健康にいいと注目を集めています。学術的な調査によれば、日本人が1日に摂取するポリフェ ノール量の約半分は、コーヒーからであることがわかりました。また、全体の15%が「ネスカフェ」からとっていることがわかりました。一方で、日本で「ネ スカフェ」は年間約110億杯飲まれています。つまり「日本人が最もポリフェノールをとっているのはネスカフェから」と言うことができるのです。

 

 これから「ネスカフェ エクセラ」のソリュブル(インスタント)コーヒーのほか、コーヒーミックス、ボトルコーヒーを、ポリフェノールのアイコンをつけた新デザインへ切り替えて いきます。今年は、これらのような“バリューアップ戦略”を進めることで、大きな変革期を迎えることになります。その意味では楽しみな年と言えます。

日本でもEDLP台頭

──ネスレ日本のコーヒーが、これほど大きな商材となったのは、なぜだと分析されますか?

 

高岡 ハイ&ローという日本型のSMのビジネスモデルにマッチしたからでしょう。チラシで低価格の目玉商品を打ち出して集客し、ついでに粗利率の大きい商品を 買ってもらって利益を確保するというスタイルです。その商品にコーヒーが使われたということです。ただ、このビジネスモデルはだんだんと通用しなくなりつ つあります。原因はSMという業態の過当競争にあります。日本全国、どこもオーバーストアで、徒歩圏に数店のSMがあるのは珍しくなくなっています。消費 者は安い商品を買い回っており、こうなるとビジネスモデルは根底から覆ってしまいます。

 

 そこで注目されているのがEDLP(エブリデイ・ロー・プライス)です。徐々に浸透しつつありますが、日本ではまだ過渡期にあります。すぐにこれ までのハイ&ローというスタイルがなくなるとは思いません。しかし流通各社はコストを削減する方向にあり、最終的にはEDLPに向かうのは確かです。消費 者も、EDLPに慣れ、価値あるものとだんだんとわかってきたのではないでしょうか。それを前提として力を入れているのが、今日お話ししたような戦略で す。先日、ウォルマートの首脳陣と話をしましたが、そこでも日本でEDLPが浸透しつつあることが話題になっていました。彼らからリクエストされたのは 「イノベーションのある新製品を開発してほしい」というものでした。ただの新製品ではなく、そこに何らかの新しい付加価値を持った新製品ということです。

 

──その意味では、かなり先を見越して戦略を立てておられるということですね。それにしても次々とユニークなアイデアを出されています。ビジネスのヒントはどのように思いつかれるのですか。

 

高岡 基本的には考え抜く以外にありません。私は会社に所属していますが、消費者としての気持ちをどれだけ正直に持ち続けられるかがキーだと思います。ただ、そ うやって出てきたアイデアは総論賛成、各論反対というケースが往々にしてあります。そこからの努力、そしてその原動力であるエネルギーこそが実は最も重要 なのかも知れないと感じています。

 

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