ネスレ日本代表取締役副社長 高岡浩三
デフレマーケットに付加価値商品を提案し続ける!

2010/02/18 00:00
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──キットカットは安売りされることが多かった商品だそうですね。高岡副社長は、それを利益商材に生まれ変わらせ、チョコレートのナンバーワンブランドに育てた実績をお持ちです。

 

高岡 今から10年少し前、私がネスレ日本からネスレコンフェクショナリーへ出向したときは、確かにご指摘のような状況でした。袋が大量に積み上げられ、低価格 で販売されていました。お子さんがお小遣いで買う商品ではなく、お母さんがまとめ買いする製品だったのですね。また、他店の競争にさらされるポジションに あったため、利幅も少なかったのです。

 

──その現状を打開するために、次々と新たな手を打ってきました。

 

高岡 当時、コンビニエンスストア(CVS)の店頭にはキットカットはありませんでした。そこで、CVS向けにストロベリー味の期間限定商品を投入しました。 2000年のことです。おかげさまでこれがヒットし、キットカットが注目を集めるきっかけとなりました。食品スーパー(SM)に対しても限定商品を出し、 好評をいただきました。

 

 実はこのアイデアは逆転の発想から生まれたものです。CVSにおける商品の改廃スピードは非常に速く、その中で長期間にわたって置いてもらえるのには相当の工夫が必要です。

 

 新製品を出してもせいぜい2?3ヵ月しか持ちません。それなら最初から2ヵ月で切り替わる期間限定の商品を出してみようと考えたのです。

 

──その後、受験キャンペーンも大きく支持されました。

 

高岡 そのように、ニュースになるような話題を継続的に提供してブランドを育てていけば、われわれメーカーだけでなく、最終的には取引先へも大きな貢献ができる のだと思いました。今の時代のように景気が低迷する中で、お客さまが購買を決定する際の大きな判断基準は価格です。低価格のPB(プライベートブランド) が急速に台頭、浸透してきている裏側には、そんな理由があります。

 

 しかし、NBメーカーが取り組むべき課題は商品に付加価値をつけることです。また、ここに力を入れていけば、お客さまにも取引先にも決して見放されることはないと考えています。

システムでコーヒーを飲む

── 一方、コーヒーも詰め替え用のネスカフェ チャージがヒットし注目を集めています。

 

高岡 新体制でスタートした今年は、ネスカフェにとっても大きな転換期を迎えることになるはずです。複数の取り組みを考えており、積極的に需要を拡大していく計画です。

 

 ネスカフェ チャージは基本的に詰め替え用の商品です。詰め替え用の商品ですから、それだけですと購買額は下がってしまいます。そこで当社が考えなければならないの は、新しい付加価値を持たせ、カテゴリー全体のボリュームをさらに拡大できるような戦略を推し進めることです。

 

──具体的にはどのようなものですか?

 

高岡 今後、インスタント、レギュラーとも、当社のコーヒーについては“システム”で飲んでもらえるような仕組みを構築していきます。前者はネスカフェ バリスタで、後者がネスカフェ ドルチェ グストになります。前者のネスカフェ バリスタの場合、“システム”で飲むというのには(1)詰め替えるシステム、(2)コーヒーメーカーというシステムの2つの意味があります。

 

 09年にインスタントコーヒー専用のコーヒーメーカー「ネスカフェ バリスタ」を実験的に販売しました。当社のネスカフェ チャージを使ってインスタントコーヒーをマシンに入れ、ボタンを押すだけでカプチーノなど5種類のメニューの本格的な味を楽しめるユニークな商品です。日 本市場のためだけにつくったもので、当社としても初の試みです。すべてが試行錯誤でしたが、結果としてかなりの好評を得ることができました。販売ルートは 限定したのですが、短期間で当社出荷台数は1万台を超え、現在品切れの状態です。価格は7980円と、レギュラーコーヒーメーカーと比較しても決して安く はありませんが、やはり当初の考えどおり、価値のある商品はこのようなデフレ下でも売れるということがわかりました。やはり、付加価値を高めていく「バ リューアップ戦略」が重要なのだと思いますね。

 

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