バイオマスとは?バイオマスを利用することでどんなメリットがある?実例を交えて解説!

読み方:ばいおます
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バイオマスとは

バイオマス(biomass)とは、生物(bio)の量(mass)を物質の量として表現する言葉である。乾燥した状態の重さはdry・kg(キログラム)、水分を含む状態ではwet・kg、またエネルギー量の単位であるJ(ジュール)やcal(カロリー)などを組み合わせたcal/kg(J/kg)などの形、その他にも炭素量で表わされることもある。

なおバイオマスは、生物量、あるいは現存量と日本語に訳されている。この生物量を示す意味から転じて、「生物由来の資源」を示す言葉として一般に使われている。なお平成 21 年に制定されたバイオマス活用推進基本法では、バイオマスを「化石資源以外の動植物由来の有機物である資源」と規定している。

バイオマスのイメージ
Fir biomass in flomes – renewable energy

バイオマスの種類と利活用

バイオマスの種類には、廃棄物系バイオマス、未利用バイオマス、資源作物、新作物がある。

廃棄物系バイオマスは食品廃棄物、製材工場残材、下水汚泥や家畜のし尿汚泥、パルプ工場廃液の黒液などがある。未利用バイオマスは稲わらや麦わら、もみ殻、間伐材など、また資源作物にはトウモロコシやさとうきび、菜種など、新作物は海洋植物や新しく開発される遺伝子組み換え植物などが該当する。なお資源作物とは、エネルギー原料や製品を製造するための原料として使われる作物を示す。

バイオマスの利活用では、バイオマスをエネルギー源として利用するバイオマス発電やバイオ燃料がすでに実用化、さらにバイオプラスチックなどのバイオ製品の実用化が進められている。

バイオマスのキーワード「カーボンニュートラル」

バイオマスのキーワードは、カーボンニュートラルである。バイオマスは燃焼するとCO2(二酸化炭素)が発生するが、その量はバイオマスとなる生物が成長する過程で大気中から取り込んだCO2の量に等しい。そのため、大気中のCO2の量を増加させることが無く、大気をニュートラルな状態に保持するため温室効果ガス増大の抑制に貢献することができる。

バイオマスの導入メリット

メリットのイメージ

バイオマスの導入メリットは、温室効果ガスの削減と廃棄物の有効利用、地域に貢献する環境ビジネスの振興である。

前者はカーボンニュートラルに貢献する廃棄物を有効利用し、地球温暖化対策と循環型社会の構築に貢献する。後者は未利用バイオマスの活用による発電事業や資源作物などの栽培、これらを原料とするバイオプラスチック製品の事業化など、地域産業の活性化が期待できる。

バイオマスのデメリット

バイオマスの利用においては、発電コストやバイオ燃料の販売価格が割高となる点がデメリットである。バイオマスを発電に使うためには汚泥の一次処理、廃材などの回収やチップ化といった前処理の工程が必要であり、コストアップの要因となる。バイオマス燃料や、バイオ製品の製造においても同様である。

また資源作物をバイオ燃料やバイオ製品の原料として大量に使用するには、食糧と燃料のトレードオフが課題となる。資源作物をエネルギー資源として消費することで、世界の食糧事情を悪化させる可能性が懸念される。

バイオマス利用の実例

ここでは、バイオマス発電、バイオ燃料、バイオマスを原料とするバイオプラスチックの実用例を紹介する。

バイオマス発電

バイオマス発電では、廃棄物系バイオマスが利用されている。バイオマスを直接燃焼する直接燃焼方式、バイオマスを加熱し発生したガスを利用する熱分解ガス化方式、下水や製紙工場の汚泥や家畜分尿などの醗酵から発生するガスを利用する生物化学的ガス化方式がある。

バイオマス発電は、原料となるバイオマスの収集が容易な地域に立地されることが多い。林業や木材産業が盛んな大分県日田市の「グリーン発電大分」や岡山県「真庭バイオマス発電所」、下水汚泥を利用する愛知県「豊橋市バイオマス利活用センター」などである。また電力の大消費地に近く、旧製油所のインフラや近隣の港湾施設が利用できるなどの事業資産を活用して、石油会社が木質系燃料のみを使う「京浜バイオマス発電所」の様な需要立地のケースも見られる。

バイオ燃料

バイオ燃料として実用化が進んでいるのは、バイオエタノール、バイオディーゼル、バイオジェット燃料である。バイオエタノールとバイオディーゼルは自動車用燃料として利用されている。ジェット燃料としての利用は、実証実験が進められている段階である。

バイオプラスチック

バイオプラスチックの原料は、家畜飼料用のトウモロコシや砂糖を作る際に副生する廃糖蜜、非可食性のひまし油などである。バイオプラスチックの用途は、食品などの容器やレジ袋、ごみ収集袋、衣類などの繊維製品、自動車内装部品などである。なおバイオプラスチックの多くは生分解性プラスチックであるが、一部には生分解性を持たない種類もある。

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