登録販売者とは?登録販売者ができること・できないことは何?メリット・デメリットも解説!
登録販売者とは
登録販売者とは、一般医薬品を販売できる専門資格である。薬剤師が不在でも第2類・第3類に限って販売することができる。一般医薬品とは医師の処方箋がなくても販売できる医薬品で、そのうち第1類医薬品は薬剤師しか販売できない。ただし、一般医薬品の約9割は第2類と第3類である。
登録販売者制度は、2009年の改正薬事法によって設けられた資格で、国家資格に準じる公的資格である。登録販売者制度ができたことによって、それまで薬局の経営に必要だった「薬種商」の資格は廃止された。
登録者販売の資格試験は各都道府県が年に1回実施し、受験資格や年齢制限はない。受験者数は年々増加しており、21年度は6.5万人を超えた。合格率は例年40〜50%とされている。
また、「登録販売者」という名称に医薬品の文字がないのは分かりにくいという声があり、19年に日本チェーンドラッグストア協会は、名称を「医薬品登録販売者」に変更すると発表した。今後、この名称が一般化するとみられる。
登録販売者のメリット
登録販売者制度は、薬剤師の不足を補う目的で創設されたが、薬局以外のさまざまな小売店で薬品を販売する道も作った。従来は、薬局経営者が薬種商の免許を取り、形式的ではあっても薬剤師を雇用する、という形が一般的だったが、登録販売者制度によって医薬品を販売できる店舗が増えたのだ。
今日では、ドラッグストアはもちろん、食品スーパー、コンビニ、ホームセンター、家電量販店などで医薬品が販売されている。19年の改正薬機法によってEC(ネット通販)でも医薬品の販売が可能になった。
また、新しい専門職が誕生し、職業選択の道が広がったというメリットもある。登録販売者の資格を取得したものは就職や転職で有利となり、資格手当などで収入アップが期待できる。
17年にセルフメディケーション税制(医療費控除の特例)がスタートしたのも、販売登録者やその志願者には追い風だった。自分の健康は自分で管理し、軽い病気は病院にかからずに治療しよう、という趣旨のセルフメディケーションによって、登録販売者がより重要な存在になったのだ。
登録販売者のデメリット
登録販売者は、資格試験に合格しただけでは単独で売場に立つことができない。合格後2年の実務経験を積んで、はじめて一人前の販売登録者として独り立ちできるのだ。
また、医薬品は新しい成分や製品が次々に開発される世界であるため、売場に立つためには1年に12時間以上の外部研修を毎年受け続ける必要がある。
上記の要件を満たすことで、店舗ごとに一人の設置が義務付けられている「店舗管理者」になることもできる。
登録販売者の事例(2分の1ルールの撤廃)
登録販売者、医薬品販売にかかわる事例として、いわゆる「2分の1ルール」の撤廃について取り上げよう。
一般医薬品の販売における「2分の1ルール」とは、営業時間の半分以上は薬剤師、もしくは登録販売者を常駐させなければならない、というルールだ。この2分の1ルールは、厚生労働省が1964年に示した「省令」で定められたものだ。その後登録販売者制度ができ、さまざまな店舗が医薬品を販売するようになったが、このルールの撤廃を求めて声をあげたのがコンビニ業界だ。
24時間営業のコンビニにとって、毎日12時間以上薬剤師または登録販売者を常駐させるのは事実上不可能である。そこで、大手コンビニ企業が加盟する日本フランチャイズチェーン協会が撤廃を求めて運動を行なったのだ。
厚生労働省も「2分の1ルール」が一般医薬品の販売市場の拡大にストップをかけ、しいてはセルフメディケーションの推進にも悪影響があるとして、21年8月1日に「2分の1ルール」を撤廃するように通達した。