プライスラインとは?プライスライン戦略のメリット・デメリットは?徹底解説!
プライスラインとは
プライスラインとは、たとえば腕時計の「1万円未満」のプライスゾーンにおいて、価格を1,980円、4,900円、9,800円の3種類に絞ったとき、このそれぞれの価格のことを指す。この場合は3本のプライスラインを設定したことになる。
このように、あるプライスゾーンに何本かのプライスラインを設定する販売戦術を「プライスライン政策」あるいは「プライスライニング」という。
上記の例で、販売店が4,900円のプライスラインを主力と考えるなら、そのラインを「プライス・ポイント」という。その場合、1,980円と9,800円のプライスラインを「補助プライスライン」といい、プライス・ポイントに満足しない需要を吸収する役目をする。
プライスラインのメリット
プライスラインを設定するメリットは、顧客の商品選択に分かりやすい目安を提供できることだ。顧客は、自分にふさわしいと思うプライスラインをまず選択して、その中でデザインや色、性能などを比較して商品を選ぶことができる。
1つのプライスゾーンにバラバラの価格の商品がたくさんあると、何を目安にして購買品の候補を絞ってよいか分からず、買物に時間がかかり購買意欲が下がることがある。それを防ぐのがプライスラインだ。このように、顧客のCost of Thinking(考えるコスト)を減らして買いやすくするメリットがプライスラインにはある。
また、プライスラインを設定することで売価の種類が少なくなり、販売管理が容易になるメリットもある。ディスプレイの方針も立てやすくなる。
仕入れにおいても、主力プライスラインの商品を厚めに仕入れ、補助プライスラインの商品を薄めに仕入れるなど、仕入れの目安を単純化することができる。
設定したプライスラインの上下に大きな差がない商品群の場合は、不人気商品(売れ残り商品)を1つ下のプライスラインに落とすなど、値下げの方法がシンプルになる。
プライスラインのデメリット
プライスラインのデメリットは、仕入価格〇〇%という価格設定ができないことだ。それによって、同一プライスラインの中に、利益率の高い商品と低い商品が混在することになる。
また、プライスラインを設けると、ある商品の仕入れ価格が上がった場合も売価を上げることができない。同様に、値下げの自由度も制限されることになる。
商品の製造からプロデュースしている小売業は大胆なプライスライン政策をとりやすいが、メーカー・問屋からの仕入れ商品に頼る小売業では、プライスライン政策に一定の限界がある。
プライスラインの実例
プライスラインを絞ることで成功した有名な例がユニクロ(山口県/柳井正会長兼社長)だ。ユニクロは、1,980円と2,980円の2本のプライスラインに主力商品を集中させることで顧客の商品選択をリードし、売上を伸ばした。顧客を迷わせないことが、スムーズな購買につながったのだ。
このシンプルなプライスラインを可能にしたのが、「ものを作ってから価格を決める」から「価格を決めてから物を作る」という発想の転換だ。日本に昔からあるプラスライン戦略に「松・竹・梅の価格設定」がある。うな重やにぎり寿司に松・竹・梅で価格ランクを設けるおなじみの販売法だ。この場合もプライスポイント(主力となるプライスライン」は、中間の「竹」となる。「松」はぜいたくだが「梅」を注文するのはカッコ悪い、という顧客心理をつく戦略だが、店舗の立地や顧客層によっては「松」や「梅」が主力になることもある。
料理に限らず「松竹梅戦略」は、「売りたい価格で商品を売る作戦」でもある。2,000円の商品を主力で売りたい場合は、その上に3,000円のプライスラインを設けることで、消費者は2,000円の商品に手を出しやすくなる。