ゾーニングとは?都市計画や売場の買いやすさや効率を決めるゾーニングの考え方を解説!
ゾーニングとは
ゾーニング(zoning)とは、分ける、区分するという意味である。都市計画で土地を用途別に区分をする、物品やサービスの利用が可能な人々を区分する、建物内の部屋を利用目的に区分するなど、幅広い場面でゾーニングという言葉が使われている。
都市計画におけるゾーニングとは、土地を住宅地や商業地など利用目的別に区画割をすることである。物品やサービスの利用におけるゾーニングでは、飲酒や喫煙が禁止行為となる年齢の区分、また様々な建物や住宅設計におけるゾーニングでは、人が集まる空間、個人的な空間、移動のための空間などを区分し、詳細設計の基本プランとするなどである。
その他にも、小売店舗で見られる販売効率を上げるための売場のゾーニング、医療機関における感染症対策としてのゾーニング、災害の種類と想定被害のレベルをゾーニングした防災マップなど、数多くのゾーニング例が見られる。
本稿では、広い意味でのゾーニングを押さえたで、小売店舗で見られる販売効率を上げるための売場のゾーニングをメーンで解説する。
ゾーニング適用のメリット
ゾーニングには、目的を達成するために必要な区分を効率的に実行できるというメリットがある。
例えば都市計画法においては、住宅地域、商業地域などの特性で土地がゾーニングされ、それぞれの該当する用途地域として建築物ルールが適用される。そのため、ゾーニングされた用途地域に適合しない建物は建築ができず、地域環境の保持が可能となる。
ほか、住宅建築における部屋割りのゾーニング、店舗における売場レイアウトのためのゾーニング、感染症治療を行っている施設における動線のゾーニング、自然災害を防止するための防災マップの作成など、ゾーニングが貢献できる数多くの場面がある。
ゾーニングのデメリット
ゾーニングは、様々な場面でメリットを生み出しているが、裏返して見るとメリットがそのままデメリットとなるケースもある。例えば、新たな建築物の立地条件に恵まれている土地があっても、用途地域のゾーニングに適合していなければ建設ができず事業機会の喪失となる。また都市計画の見直しなど用途区分の変化で、変更された用途区分によっては、建物や土地の資産価値が下がることもある。
その他にも、住宅建築では時間経過による家族人数の変化、店舗の売場レイアウトでは周辺環境やトレンドの変化により、ゾーニングを想定した条件が変わることがある。その時々の客観的な状況を認識していなければ、十分なゾーニングのメリットが生かせないことになる。
ゾーニング適用の実例
数多くのゾーニング導入の場面があるが、ここでは「都市計画」「商品レイアウト」「感染防止」の例を紹介する。
都市計画におけるゾーニング
都市計画法では、対象となる地域内の土地を「用途地域」として区分している。用途地域は、低層住居専用地域、中高層住居専用地域、商業地域、工業地域など、13の用途地域にゾーニングされている。それぞれの土地の用途を区分することで、例えば住居専用地域に工場の建設申請があっても排除が可能になるなど、法律を背景としてそれぞれの用途地域の環境を守る有力な手段となっている
売場構成を決めるゾーニング
小売店舗でのゾーニングとは、様々な商品をどのようなカテゴリーで、どのようなレイアウトで商品を並べるのかの配置を決めることである。具体的には、顧客の目を引き寄せたい商品のゾーン、定番商品のゾーンなど、店舗側の売りたい商品の優先順位を区分し、商品棚の並びと陳列方法を決めることである。
もっとも顧客の目に止まりやすい場所はゴールデンゾーンと呼ばれており、特定期間における重点商品を並べるのが一般的である。また、商品の並べ方には、バーチカル陳列と呼ばれる縦向きの配置、ホリゾンタル陳列と呼ばれる横向きの配置方法がある。
感染防止のためのゾーニング
新型コロナウイルスの感染が広がり、検査から診察、入院、在宅治療など、それぞれの場面で感染防止対策が必須となっている。その感染対策の基本となっているのが、治療現場のゾーニングである。具体的には、ウィルスの汚染区域(レッドゾーン)と、汚染されていない区域(グリーンゾーン)の区別である。